福住 護  Fukuzumi Mamoru

ez-HTML
クリーンでムダのないソースを書くためのパワフルなHTMLエディタ

■見出し構造をもとにしたアウトライン表示やスタイルシートの解析で、HTMLやスタイルシートファイルを効率よく編集することができる

筆者にとっての2005年を簡単に総括すると、SEOの勉強と実践に取り組んだ年ということになる。そこで最も印象に残ったオンラインソフトは、イコール「SEOのために最も使用したソフト」ということで、「ez-HTML」を挙げたい。

「ez-HTML」を大まかに説明すると、タグ挿入型のWebページ作成ソフトということになるかと思うが、ちょっと前の、本当に“タグを挿入するだけ”のHTMLエディタに比べるとはるかに高機能で、かつ洗練されている。このソフトを見逃していた筆者は、原稿執筆の依頼があったとき、実のところちょっとショックを受けてしまった。

その高機能ぶりが集約されているのが「スペシャルサイドバー」だ。ここにはファイル選択用のフォルダツリー以外にも、さまざまなタブを表示させることができる。例えば「サイズ」タブでは、実際にWebで表示するときの1ページ分の容量──すなわち編集中のHTMLファイルと、そこに含まれるインライン画像などの合計のファイルサイズ──を計算してくれるし、メディアビューアなどの機能もあって、トータルな作業性を高めている。

なかでも、筆者が気に入っているのが「アウトライン」「スタイルシート」の二つのタブ。前者はHTMLファイルの見出し構造を解析してツリー状に表示してくれるもので、当然のことながらツリーの折り畳み/展開ができるし、ダブルクリックすればエディタ部で該当するタグにジャンプしてくれる。一方、後者はCSS（Cascading Style Sheet）ファイルの編集用で、プロパティを挿入するための「入力」タブと、編集中のスタイルシートを分析して各要素をツリー状に表示する「解析」タブに分かれている。

さて、ここでちょっと脇にそれて冒頭に出てきたSEOという言葉について説明しておこう。Webページを制作している人やアフィリエイトで収入を得ている人ならとっくにおなじみだろうが、おおまかにいえば、「Webページ検索の上位にランキングさせることを目的としてページを制作したり改良したりすること」を指す言葉で、検索エンジン最適化（Search Engine Optimization）の略だ。

SEOで重要とされることの中に、HTMLの見出しに則って構造的にページを記述するとか、なるべくソースコードをシンプルにして、重要なテキストはできるだけBODYタグ内の上の方に記述するといったテクニックがある。そこで先に挙げたような「アウトライン」タブや「スタイルシート」タブが大いに役立つというわけだ。

HTMLファイルの場合、ページが複雑化してくるとソースコード全体の見通しが悪くなりがちだが、「ez-HTML」なら見出し構造を明確に設定してページを書いておけば、あとは「アウトライン」タブでスマートに管理できる。レイアウト関係の指定もすべて外部スタイルシートにまとめれば、さらに見通しがよくなり、SEOの点でも理にかなっている。

もちろん、スタイルシートを編集する場合も「解析」タブを使うことで、どこにどんな指定を記述したかをすぐに探し出せる。実のところ筆者の場合、スタイルシートについてはまだ学習の最中で、市販のリファレンス本を見ながらすべて手作業で記述しているに過ぎないが、スタイルシートを本格的に使いこなしたい人にはうれしい機能だろう。

また、ワンタッチでHTMLのソースコードとプレビューを切り替えられるので、スタイルシートの編集結果が実際のページにどう反映されるかも簡単にチェックできる。blogのカスタマイズなどで本格的にスタイルシートを勉強しようという人にとっても、格好の学習教材となるのではないだろうか。

そのほかにも魅力は多い。細かいところでは各種HTMLタグの規格に基づいたタグの入力補助機能で、スピーディかつミスのない入力を可能にしてくれるし、ほかにも外部のツールと連携した文法チェック機能やHTMLのリファレンス、CGIスクリプトの動作チェック（設定にはちょっとした知識が必要だが）といった大技まで、実にさまざまな機能が用意されている。

筆者のように一種の学習ツールとして使うのもよいが、もっと本格的なページ作りにも十分使える。クリーンなソースコードをにこだわる方やCGIスクリプトを作成している方に、ぜひお勧めしたい一本だ。