2005年もさまざまなMac OS/Mac OS Xソフトに出合ったが、今回はその中からちょっとおもしろいソフトをベストオンラインソフトに推薦したい。「ページものを作成できるドローソフト」「テキストエディタ」「簡易な画像ビューア」の三役をこなす「TwilightDraw」だ。
ドローソフトというと本来、図形や線を使って「図」または「絵(イラスト)」を描くためのものだが、図形だけでなく、画像イメージやテキストを追加することで、簡単なDTPソフトのようにも使える。図形、テキスト(の固まり)をオブジェクトとして扱うことで、紙面上の自由な場所に配置して、1枚の文書を作り上げるわけだ。“オブジェクト”という考え方によって、紙面構成(レイアウト)の自由度が高くなっている点が、ワープロやエディタなどとの大きな違いといえる。
Mac OS X標準の統合ソフト「AppleWorks」のドロー環境は、こうしたアプローチを取っている。例えば、絵や写真を多用した文書の作成では、ワープロに対して大きなアドバンテージを有する。一方で、ドローソフトは基本的に「1枚の」図面やイラストの作成を想定しているので、「ページ」という考え方がなく、複数ページにまたがる文書を一括して扱えない(1ページごと別々に作ることになる)という弱点がある。
「TwilightDraw」は、ページという概念を導入したユニークなドローソフトだ。必要に応じて文書中にページを追加し、複数ページを持つ文書を作れる。オブジェクトとしてテキストを読み込むときなど、文章が長くて既存のページで収まらない場合には、必要なページを追加してくれる。しかも図形、画像、テキストボックスなどのオブジェクトは、ページ間を自由に移動させて配置させることが可能だ。
さらに、1ページ内に同サイズのテキストボックスを並列させることにより、段組の文書も簡単に作成できる。つまり、簡易レイアウトソフトとして、ページものの作成にも利用できるわけだ(AppleWorksにも「ページ追加」機能はあるが、紙面の範囲を縦または横に広げるもので、文書としてのページ概念とは異なる)。
直接テキストファイルを作成/編集/保存できる点も、ドローソフトとしてはめずらしい。一般的なドローソフトと同じく、テキストボックスを利用するのだが、いきなりテキストファイルを選んでオープンすることが可能で、文書の長さに応じて必要な分だけテキストボックスを作って文書を流し込み、自動的にリンクしてくれるのだ。テキスト編集では、文字フォント設定のほか、行内・行間の文字位置、タブ設定、検索・置換といった、一般的なテキストエディタと同様の機能を備えている。しかも、テキストのみで構成される文書は、テキスト/リッチテキスト形式で保存することができる。
「簡易画像ビューア」は、画像フォルダを直接読み込ませることで、フォルダ内の画像が紙面に配置された文書が自動作成される機能。ページ(文書)のサイズと、縦×横の配置枚数を指定するだけで、画像のサイズは配置枚数に応じて自動調整される。ユーザがあとから、図形やテキスト、別の画像イメージを追加することができる。
一見ばらばらに思われる三つの機能は統合されている。モード切り替えなどの操作は必要なく、“シームレス”に利用できる。また、図形作成やテキスト編集に用いるツールはすべて、「メインパネル」と呼ばれるフローティングのパレットにまとめられ、操作体系は共通している。
作者が自分のニーズに合わせて、ジャンルにこだわらず自由な発想で必要な機能を組み合わせたソフトといった印象で、使い勝手もよくシェイプアップされている。ユーザによって多少の向き/不向きはあるかもしれないが、それもまた、オンラインソフトを使う醍醐味といえる(筆者としては、メインパネル上で選択されているツールに、何かマークがつくとありがたいのだが……)。
案内状、カード、ポスター、簡易アルバムなど、幅広い用途に使える。絵や写真を使った文書を簡単に作りたいユーザは、ぜひ一度試してみてほしい。