演出が地味めで、とっつきがよいとはいえないが、プレイし続けるうちにどんどん味が出てきておもしろくなってくる、なんとも渋いゲーム。筆者は慣れないうち、ダンジョンの中で迷って焦ったり、キャラを死亡させまくったりして、苦戦させられた。最初にキャラを6名分、作成しなくてはならないのも面倒に感じた。さらに、使える魔法が「スリープミスト」だけで、しかも一回しか使えないなど、作りたての魔術師が非力なことにも悩まされた。正直、最近のゲームに慣れきった感覚でプレイすると、ゲームシステムの違いに思いっきり戸惑うことになるだろう。
しかし、いったんこのゲームのクセをつかみ、ゲームの進め方を理解すれば、当初の印象は一転する。使い捨てではあるものの、「魔法の地図」を使用すれば、マップは簡単に作成することができる。そもそも慣れると、床の白い部分を見て、現在地を簡単に把握できるようになる。
モンスターとの戦闘も、勝手がわからないうちはハードに感じたが、ある程度要領がわかってくると、むしろイージーだと感じるようになった。きちんと装備を整えて、適正なレベルで探索を行えば、恐れることは何もない。……といって、油断して適当な探索を行えば、全滅の危険があることはいうまでもない。
表示されるメッセージ類がどことなくコミカルで明るく、実際に冒険をしているような“適度な緊張感”も漂う。ゲームシステムになじみさえすれば、大いに楽しむことができる、バランスのよいゲームだ。
(秋山 俊)