「Shade 3D」は、国産では唯一ともいえる本格的な3Dソフトで、バージョンも「15」を数える、息の長い“定番”ソフトだ。3Dソフトには趣味のグラフィック作成からプロ向けのデザイン作成まで幅広い用途があるが、こと個人用に限っていえば、最終生成物はこれまで2Dの静止画や動画がほとんどだった。個人レベルではパソコンを使って立体物を出力するのが難しかったというのが大きな理由だ。
3Dソフトで作成したデータを、実際に3Dプリンタで出力可能な形状にするには、注意しなければならない点が多々ある。例えば「厚みのないポリゴン」は、3Dグラフィックスでは当たり前のように作成できるが、3Dプリンタでは出力できない。物理的に立体物として出力するには「厚みゼロ」はそもそも不可能だし、出力される物体の強度を考えれば、最低限の厚みや太さが必要だ。
「Shade 3D Basic ver.15」の「3Dプリントアシスタント」は、そうした「3Dプリント時に必要な多くの“お約束”」を多方面からサポートしてくれる機能だ。「3Dデータとしては正しくても、3Dプリント用のデータとしては正しくない」状況を的確に見つけ出して、可能ならば自動修正し、自動修正が無理でも修正が必要な部分をリストアップしてくれる。「厚み」設定や、あるいは複数の形状を出力する際の一体化機能などもすべてこの画面から呼び出せる、非常に便利な機能だ。新機能のひとつ「ボクセル化メッシュ」も、やはり3Dプリンタを使う際には便利だ。
3種類のグレードがあるが、「3Dプリントアシスタント」や「ボクセル化メッシュ」「ラッピングメッシュ」などは「Basic」でもすべてサポートされている。3Dプリンタによる立体物の出力を試すには最適なエントリーモデルだ。
(天野 司)