豊富な機能や高い操作性で定評のある国産3D CG作成ソフト「Shade」シリーズの新バージョン。3Dプリント関連機能が大幅に強化された。「Shade 3D」は“3D CGから3Dプリントまで、3D制作に幅広く対応”する統合型3D作成ソフト。ホビーから映像制作、建築まで、さまざまな分野で利用されている。新バージョン「15」では、3Dプリント関連機能が強化されたほか、高解像度モニタへの対応、レンダリングの高速化なども図られた。すべての形状を包み込んで一体化する「ラッピングメッシュ」、元の形状をなるべく崩さないようにポリゴンメッシュのポリゴン数を削減する「ポリゴンリダクション」などの機能も追加され、より簡単に3D制作を楽しめるようになった。「Basic」のほかに「Standard」「Professional」の計3グレードがある。「Basic」は最も基本的な機能が搭載されたエントリーモデル。
新バージョン「15」では、4K(3,840×2,160)を超える解像度のディスプレイに対応した。従来もグラフィックの表示そのものは可能だったが、画面が高解像度になるとコマンドパレットなどの表示文字やボタン、アイコンなどのサイズが小さくなり、操作しづらかった。「15」では、表示倍率に応じたサイズのインタフェースが表示されるようになり、小型ディスプレイを高解像度で使ったとしても、操作性が落ちることはない。
モデリング機能では、3Dプリントに適した3Dモデルを作成するための「3Dプリントアシスタント」が強化された。モデリングされた3D形状(STL)を実際に3Dプリンタで出力するには、例えば強度を確保するための平面の「厚み付け」など、物理出力ならではの制約がある。「3Dプリントアシスタント」は、そうした制約をチェックしたり、必要な変更をリストアップしたりできる機能。「15」では一連の自動チェックのほか、個別のチェックを直接、実行するためのインタフェースが追加された。チェック結果のエラー一覧、自動修正結果一覧のほか、「厚み付け」や「一体化」といった3Dプリントならではの修正機能も直接、呼び出すことができる。
「ラッピングメッシュ」では、複雑な形状のポリゴンメッシュを簡単に作り出すことが可能。複数の形状の合成を完全に“包み込む(ラッピング)”ポリゴンメッシュを作成できる。包み込む形状に制限はない。厚みのないポリゴンやミラー形状、リンク形状といった複雑な形状を包み込むポリゴンメッシュも作成できる。ポリゴン分割数を調整して細かなディティールを残すことも、ポリゴン数を減らして、なめらかな丸みを持つラッピング形状を作ることも可能だ。
「ポリゴンリダクション」は、既存のポリゴンメッシュの形状をできるだけ変えずに、ポリゴン数だけを削減する機能。ポリゴン数が多すぎてデータサイズが巨大になり、レンダリングに時間がかかる場合、ポリゴン数を減らすことで時間を短縮できる。形状全体はもちろん、選択部分だけのポリゴン数を削減することも可能だ。
選択した形状からブロック状のポリゴンメッシュを生成する「ボクセル化メッシュ」も新バージョン「15」で追加された機能。曲面を含むモデルを、あたかも「レゴブロック」で組み立てたような形にモデリングすることができる。ボクセル化時の分解能を指定することも可能。データ量の削減のほか、3Dプリント時のモデリングなどにも活用できる。
レンダリング機能では、シェーディング時に使用する光源として新たに5種類のモデリングライトが追加された。プログラムの最適化によってレンダリング速度も向上。64bit専用バージョンにより、大規模なモデルを作成する際も効率よく操作できる。