一般的な確定申告書作成ソフトは、申告書類の作成とそれにともなって必要となる内訳書や明細書といった添付書類の作成に的が絞られ、少々乱暴にいってしまうと申告書類の清書用と位置付けられる。それに対して「マネーフォワード確定申告(青色申告・白色申告)」は、毎日発生する入出金を記録する帳簿作成と、作業を省力化する自動仕訳、請求書の発行、経営資料となるレポート作成などの機能を備えている点が大きな違い。従来のソフトが年に一度、申告期間直前にだけ使用するものだったのに対し、「マネーフォワード確定申告」は「通年で使用する会計ソフトに申告書作成機能がプラスされたもの」といってよい。
例えば、会社員などで基本的に確定申告の必要はないが、たまたま不動産所得などが発生し、例外的に申告を行わなければならないようなケースでは、従来型の「書類作成だけに的を絞ったソフト」の方がわかりやすい。一方、商売を営んでいるなどで「お金の動きをきちんと記録する必要がある」ような人には、会計ソフト+申告書作成ソフトを格安で利用できる「マネーフォワード確定申告」は大きな魅力だ。
プレミアム版ならではの機能としては、ユーザ招待機能も見逃せない。これは、オーナー(ライセンスを購入した人)以外のユーザを追加し、アクセス権限を割り当てるもので、会計士や税理士にデータのチェックを依頼するといった、クラウドサービスならではの使い方を可能にする。
もちろんWebブラウザさえあればタブレットなどでも使えるので、重たいノートパソコンを抱えて動き回らなくてもよいし、パソコンの買い換えによるデータ移行の手間やセキュリティ面での負担からも解放される。さらに、仕訳データの登録だけを家族に依頼することもできるなど、クラウドのメリットは多い。使いはじめるにあたって会計の初歩的な知識は求められるが、初歩から少しずつ学びながら使い続けてゆけばよい。
個人(事業主)向けの「マネーフォワード確定申告(青色申告・白色申告)」以外に、法人向けの「マネーフォワード For BUSINESS(法人会計)」というサービスもある。初期設定を行う段階で利用者を「個人」にした場合は「マネーフォワード確定申告」、「法人」の場合は「マネーフォワード For BUSINESS」となり、申告書作成などの一部機能は異なるものの、サービスの基本的な内容は共通とのことだ。
(福住 護)