これまで数々のRPGでザコ敵として蹴散らされてきたスライムが、敵である勇者たちに復讐するというユニークな内容のゲーム。至る所に罠を仕掛け、勇者たちをハメてゆくパズルゲームだが、難易度は少々高めだ。スライムだけあり、主人公でもすぐに死んでしまう。穴に落ちては死に、燃えては死に、ナイフに刺さっては死に……。おまけに日光に当たっただけでも死んでしまうほど、とにかく弱い。罠を仕掛けて試してゆく過程で、本当に何度も死ぬ。死んでは試し、試しては死ぬの連続で、試行錯誤を重ねながらゲームを進めてゆくことになる。
ゲーム自体は短いが、決して物足りなさは感じさせない。むしろ「勇者たちをどう罠にハメるか」を考えているうちに、どんどん時間が経ってしまう。途中で詰まることもしばしばで、筆者は隠し部屋の存在になかなか気づくことができず、くじけそうになった。これからプレイする人にひとつアドバイスするなら、「目にしたアイテムをすぐ使ってしまうと、痛い目を見る」ということ。アイテムの使いどころを考えないと、後悔することになるかもしれない。
パズルだけでなく、ミステリーの要素も強い。特に勇者、戦士、魔法使いの人間関係は見どころのひとつ。ゲーム中、彼らが交わす会話にもぜひ注目してほしい。ゲームにはさまざまな伏線が張られ、最後までプレイすると驚きの事実が判明する。「なぜ、オープニングがあの形式だったのか」「なぜ、あそこにあのアイテムが置かれていたのか」などなど。プレイ中に不思議と感じたことが、エンディングですべて明らかになったときの爽快感は格別。思考型パズルゲームとミステリーが好きな人には、ぜひプレイしていただきたい。
(早川 陽子)