戦闘に特化した短編RPGだが、短いながらも非常に歯ごたえのあるバトルシステムを楽しめる。「Rush」や「ボーナスバー」といった特徴的なシステムが多数用意され、一見シンプルなように見えて、非常に複雑な戦闘が展開する。最初にクリアすることになるダンジョン「無名の洞窟」で、全体攻撃や属性攻撃など、戦闘の仕方を頭にたたき込む必要がある。ゲームのキモはキャラクタのレベル上げにあり、「どれだけボーナス経験値を得られるか」が攻略のカギとなる。ただ敵をやみくもに攻撃しているだけでは、経験値を得ることはできない。全体攻撃で敵を2体以上同時に倒したり、敵の弱点を突いたあとに「Rush」で総攻撃をかけたり、「Bonus」バーが表示されている最中に敵を倒したりと、さまざまな方法で経験値を稼ぐことができる。
レベルが上がると、キャラクタがどんどん特技を覚えてゆき、操作に慣れてくるとレベル上げが楽しくなってくる。作業になりがちなレベル上げを飽きさせない作りになっており、好感が持てた。また、全体攻撃のハル、強力単体攻撃のレベッカ、魔法攻撃のエリザ、回復役のシルフィーと、パーティメンバーの役割がある程度決まっている点は、わかりやすくてありがたかった。
どこでもセーブできる代わりに、キャラクタの回復ポイントはほとんど存在しない。回復アイテムは、手持ちのものか、または旅の途中にある店で購入したものを使うことになる。武器や防具を揃えつつ、財布と相談しながら、消費アイテムを買わなければならない。エンカウント率も高く、敵の攻撃力も高い。筆者も、あと少しで回復薬が尽きるというスリリングな状態に何度も陥った。
短いながらも玄人好みの戦闘が楽しめるゲームとなっている。レベル上げや高難度の戦闘が大好物というRPGフリークにお勧めしたい作品だ。
(早川 陽子)