剣と魔法の世界を舞台に、少年少女が冒険を繰り広げる王道ファンタジーストーリー。基本的に主人公はルミナスだが、シナリオは三人称視点で書かれ、ほぼキャラクタの会話のみで物語は進む。プレイしていて印象的だったのが、世界設定の細やかさ。エネルギー資源「アトモス」や「ストリームスポット」、そしてアラムが歩んできた歴史など、物語の要所で明かされるさまざまな設定は、読んでいるだけでワクワクした。まるで作品の世界が存在するような錯覚に陥るほどリアルティがあり、ゲームへの没入感が深かった。戦闘の難易度は「Easy」「Normal」「Dust」の三段階から選択することが可能。メニュー画面から好きなときに変更できる。全体的に敵のステータスは高く設定され、Normalでも序盤からそれなりに強い敵と戦うことになる。ただし1回戦闘を終えるごとにHP/TPが回復する上、パーティの何人かが戦闘不能になっても、全滅せずに勝利すれば、全員HP/TPともに満タンの状態に戻る。さらに、テンポよくキャラクタのレベルが上がるため、意識的にレベル上げをしなければならないということがない。
街の中やダンジョン内は、各所に青いクリスタル(セーブポイント)が設置され、こまめにセーブさえすればゲームオーバーになっても、それほど大事に至らない。歯ごたえのある戦闘システムだが、救済措置もきちんと用意されているので、初心者やRPGが苦手な人も楽しくプレイすることが可能だ。
一方、やり込みを好む人向けの「Library」要素も用意されている。メニュー画面から見ることができるLibraryには、戦った敵やシナリオ中に登場した用語が登録されてゆく。完成度がパーセンテージで表示されるため、「地道にコンプリートを目指す」という遊び方も楽しめる。主人公が仲間とともに旅をする中で解かれてゆく謎の数々や、やり込み要素満載のゲームシステムも魅力的だが、筆者としては、作品の世界に入り込み、リアリティのある世界観をじっくりと堪能していただきたいと思う。
(早川 陽子)