幻想的で美しい、独特な万華鏡世界を堪能できるスクリーンセーバ。現実ではあり得ない万華鏡を見ることができる。「ポアンカレ万華鏡スクリーンセーバー」は、「『万華球』スクリーンセーバー」の作者でもあるNaruさんが作成した美しいスクリーンセーバ。いずれも万華鏡をモチーフにしたものだが、「万華球」が「神戸ルミナリエのイルミネーションをイメージした」のに対し、「ポアンカレ」でイメージされているのは「M.C.エッシャーの作品」。エッシャーは、だまし絵で知られるオランダ人芸術家だ。
「M.C.エッシャーの作品をイメージ」とは、ごく簡単に書くと「中心部から周縁部に向かって無限小にタイリングしてゆく」こと。「双曲幾何タイリング」と呼ばれるそうだが、このタイリングのモデルのひとつとして「ポアンカレ円板」があり、ポアンカレ円板こそが「ポアンカレ万華鏡スクリーンセーバー」のベースになっている(前置きが長くなりすぎたが、数学的な背景などは、作者のホームページの「『ポアンカレ万華鏡』を作る」でくわしく説明されている。興味のある方は、ぜひご覧いただきたい)。
肝心のスクリーンセーバだが、とにかく「美しい」のひと言に尽きる。双曲幾何タイリングのなせる技なのか、筆者にはよくわからないが、“なんともいえない幻想的な雰囲気”“引き込まれそうな滑らかな動き”、そして“周縁部に至る無限の広がり”……といったものは、「ポアンカレ万華鏡スクリーンセーバー」を見たほとんどの人が感じるのではないだろうか。目の前で展開されるコンピュータならではの万華鏡世界は、長時間眺めていても決して飽きることはなかった。
オプションで詳細は設定が可能な点は「万華球」と同様。オブジェクト画像の大きさや移動速度、回転速度・方向などを好みで変更することが可能だ。
ソフト名に(フリー版)とあるように、(シェアウェア版)も用意されている。シェアウェア版では、フリー版のように「120秒後には万華鏡中心部しか表示されない」といった制限がない。フリー版では2種類の画像が交互に表示されるが、シェアウェア版では、オブジェクトに好みの画像を使用できる。さらに、スクリーンキャプチャ機能で好みのシーンを壁紙にすることも可能になる。
(練馬 ベク蔵)