ディスプレイ上に「街並み」ができあがっていくスクリーンセーバ。時間が経つにつれて、ただの荒れ野だった場所に建物や道路などが造られ、発展していく姿を存分に眺めることができる。「SimCity」や「A列車で行こう」といったシミュレーションゲームをプレイしていて、「建設計画や経営企画で悩まずに、街が発展していくところだけを見られたらいいのに……」と思ったことはないだろうか。「街創造」は、そんな願いを叶えてくれるスクリーンセーバソフト。「ただひたすらに見続けることができる」──それが本作の醍醐味だ。
ソフトを起動すると、菱形の区画で構成された平原や川が画面いっぱいに表示される。そして各区画に建物が建設され、道路が敷かれていく。道路が川に到達すると、今度は橋が架かっていく。何もなかった場所に街が生まれ、育っていく様子を見ていると、つい時間の経過を忘れてしまう。
街全体の雰囲気は、端的に表現すれば「欧風」。家の外観はヨーロッパで見かけるような感じで、古城(新築だが)も建設される。また、伝統的な風車があるかと思えば、近代的な風力発電設備らしきものも見受けられる。さらには、コロッセオやバベルの塔といった風情の建造物まで登場する。
また、この手のシミュレーションゲームではお約束ともいえる「災害」として「天の雷」が用意されており、これが発生すると街がすべて破壊されてしまう。天の雷の発生は設定画面で有無を選べるので、街が拡大していくだけでは物足りないという人や、お約束好きな人は「あり」にしておくとよいだろう。
昼夜の区別もあり、夜になると道路や建物に明かりがともる。最初のうちは暗い世界にぽつぽつと光が見える程度だが、街が発展していくにつれて幻想的な光の装飾を目にすることができる。また、夜があることで、視覚重視のスクリーンセーバでは貴重ともいえる「CRTの焼き付き防止効果」もある。夜の有無は設定で変更することが可能。
設定画面では、前述の「天の雷」と「夜」の有無を選べるほか、建設速度を11段階から選択することが可能。道路の配置を滅茶苦茶にするかどうかを決めることもできる。
学生時代、「A列車で行こうIII」を一日中稼働させ、百年単位で経過させたことがある筆者にとって、「街創造」は倒産(笑)の心配をすることなく、発展し続ける街を心ゆくまで堪能できる、非常にうれしいソフトだ。唯一の問題は、スクリーンセーバなので動作させている間は作業がまったくできないということだろうか……。
(柴崎 ひろ)