通常の動画撮影よりもフレーム数を落として長時間の撮影をこなす「タイムラプス」撮影や、映像内の動きに変化が検知された際に警報を発生する「動き検知」機能は、“監視用”として銘打たれたカメラ機器では搭載しているものも多い。しかし、一般的なユーザが使用するWebカメラでは、そうした機能はあまり搭載されていない。「AnyEye」は、こうしたカメラに“監視用カメラ”として使える機能を付加するソフトだ。「かなり高価なものになる監視用カメラを、より安価で実現できるソフト」と考えればよい。しかも、撮影されたカメラ映像のうち、さらに細部をピンポイントで指定して動き検知対象とすることができる。こうした部分的な動き検知は、専用の監視カメラでもすべての製品で搭載されているわけではなく、「AnyEye」は、より高度な機能を実現するソフトといってよい。
この機能のおかげで、例えば「監視カメラのレンズの画角や設置向きにより、撮影範囲に公道が映り込んだり、風で動く木の枝が映り込んだりして、動き検出が使いものにならない」といった問題も解消する。
「AnyEye」の機能は、ディスプレイ上に常にプレビュー映像を映し続け、その映像を捉えるという方法で実現される(ディスプレイ側の電源はOFFにしても動作する)。ある意味、アクロバティックな方法といえないこともないし、常にプレビューを表示しなければならないために、スクリーンセーバが使えなくなるなどの制約も発生する。とはいえそのおかげで、どんなカメラでも使える強みも生み出している。
一方、このような方式のため、カメラ映像でなくても変化を検出できるという、副次的な効果も発生する。要するに、ディスプレイ内の画像の変化を通知する用途であれば、何にでも使える。例えば「非常に長い時間がかかるエンコード作業を監視させ、エンコードが完了した際にその終了メッセージの表示を捉えて携帯にメール通知する」といったことにも使える。そう考えると「AnyEye」の応用範囲も大きく広がる。アイデア次第ではさまざまな用途に使えそうだ。
(天野 司)