タイピングした情報を盗み出すキーロガー対策に加え、クリップボードやテキストデータからの情報漏洩・窃盗を防いだり、タイピングした文字列をその場で暗号化したりといった多角的なアプローチで安全性を高めるプライバシー保護ソフト。有償のプレミアム版になると、さらにカーネルモードロガー保護、WebCamロガー保護、サウンドレコーダー保護、ネットワークスパイ保護、スクリーンキャプチャ保護の五つが追加される。基本的には「プログラムの不審な動作を検出してブロックする」のだが、個々の保護機能とは別に「保護ステータス」というオプションがあり、これをOFFにしようとすると「マルウェアの侵入を防げなくなる」という主旨のメッセージが表示される。単にマルウェアの活動をブロックするだけでなく、侵入を阻止するという予防的な役割もあるようだ。
日常的な使用においては、警告メッセージが表示されたら「拒否」または「許可」を選んで、ルールを追加してゆくだけだが、キーストロークの暗号化に関しては多少、注意が必要だ。初期状態では、Webブラウザ上での入力時に暗号化が行われるように設定されているのだが、筆者の環境でInternet Explorer、Mozilla Firefox、Google Chromeで試したところ、Firefox上では数字を入力できるのみで、正しいタイピングができなかった。アドレスバーや検索バーだけでなく、Webページ上の入力フォームでも同様だ。
残る二つのうち、Chromeでは普通に文字入力を行うことができたが、Internet Explorerでは「一見、日本語配列通りに入力できるのに、コロンなどの記号の位置が少し違う」というちょっと不思議な結果となった。キーストローク暗号化には、オプション設定の中に「東アジア言語への対応」という項目があるのだが、現バージョンでは“(beta)”となっている。今後、完成度が向上して、さまざまなアプリケーションで利用できるようになれば、プライバシー保護の強力な武器になるだろう。
フリー版では暗号化の有効化/無効化の切り替えのみを行える。プレミアム版では、保護対象となるプログラム(プロセス)の追加も可能になる。
(福住 護)