テキストエディタで作成するのがテキストファイル。しかし、テキストファイルとはいっても、プログラムのソースコードやINIファイルのような設定ファイル、長編小説のような非常に長い文章、Webブラウザで1ページ分くらいの短文など、さまざまな種類がある。このページに書かれているような文章も、テキストエディタで作成されたテキストファイルだ。ファイルの目的や用途がさまざまであれば、それを作成するテキストエディタにも、自ずとさまざまな機能が求められる。巷に出回っているテキストエディタは、どちらかといえば、大きなファイルの編集に便利な「高速性」や高度な検索・置換、マクロといった「一括処理」などの機能を強化しているものが多いのではないか。しかし最近は、Webページのように短時間で読み終わる程度の短文作成に対するニーズも高い。
となれば、そうした「短文向け」の機能に特化したエディタがあってもよいはず。「ライティングさん」は、まさにこうした短文向けの編集に特化したソフトだ。
Webページの解説文のような文章には──たしかに長さは短いが──短時間で内容が理解できるわかりやすさや、読みやすさが求められる。こうした目的のためには、重複表現や文章中での表記のぶれの防止、適切な段落分け、適切な一文の長さなど、校正機能が重要だ。だが、そうした機能を重視したテキストエディタは意外なほど少ない。それどころかワープロソフトでも、そうした機能はなかなか搭載していない。
上で解説したように「ライティングさん」では、こうした方面の機能が実に充実している。逆に長大な文章を操る一括機能系は弱いが、ソフトの目的を考えれば、そうした機能はなくても困らない。いままであるようでなかった、ユニークで、かつなかなかに便利なソフトだ。
(天野 司)