ソフトを開発しようと思った動機、背景
何年も前に映画「ゴシカ(Gothika)」の視覚効果のために、はじめて流体力学のルーチンを書きましたが、そのとき以来、流体力学のおもしろさに魅せられています。いろいろと書いてみたかったのですが、2〜3ヵ月前までは状況が許してくれませんでした。私は、流体を計算するために直接、グラフィックスハードウェアを使ってみようと考え、それはすぐにうまくいきました。実験用の小さなサンドボックスとして、シンプルなブラシとカラーセレクタも作りました。ほんの少しばかりブラシをストロークさせただけで、私の心臓は飛び出しそうになりました。「Verve Painter」が誕生した瞬間です。
当初、「Verve Painter」は“未完の大器”とでもいう状態でしたが、ブラッシュアップすればデジタルアートの強力な武器になると直感しました。私は「Verve Painter」の開発を継続することにし、多くの人たちに使ってもらいたいと考えました。
開発中に苦労した点
グラフィックスカードの互換性は実に悩ましい問題です。さらに「Verve Painter」は、小さなアプリケーションであるにもかかわらず、それなりの処理能力が必要とされます。最適化は継続して行っていますが、同時に流体シミュレーションのより複雑な面についても開発を進めたいという気持ちをもっています。それでは最適化が進みませんので、常にジレンマを抱えている状態です。
そのほかは実に楽しいことばかりです。強いて苦労を挙げるとするなら、私は純粋に好きだから「Verve Painter」の開発を行っているのですが、一方で生計を立てる必要もあり、開発だけに専念できないということでしょうか。
「Verve Painter」はフリーのままにしておきたいのですが、一方で私の開発環境をユーザの方が支援してくれるようなよい方法はないものか思案しています。人々のクリエイティビティを刺激するソフトには生産的なおもしろさがあるし、気軽に利用できるものでなければならないと考えています。
ユーザにお勧めする使い方
ワコムの「Intuos」のようなタブレットで使っていただくのがお勧めです。ただし、マウスで使っても「Verve Painter」の楽しさを十分に味わっていただけると思います、現在のインタフェースは非常に単純化され、すべての機能をインタフェースから利用できるようにはなっていません。私がインタフェースを次のレベルに引き上げるまでは、すべての機能を把握するためにマニュアルを熟読してください。
例えば“Fluidity”のパラメータは、非力なパソコンを考慮して「0%」が初期値になっていますが、「Verve Painter」をより楽しむためにはこのパラメータ値を上げる必要があります。通常の描画でも私は「20%」に設定しています。さらにTipsや上手な使い方を知りたい方はぜひ、フォーラムにアクセスしてみてください。
今後のバージョンアップ予定
大きなところではインタフェースの改善ですが、さらに楽しみにしているのがブラシインタフェースおよびテクノロジーの改善で、処理効果やオプションを強化したいと考えています。画像のインポート/エクスポート機能の強化や、より直感的な方法での色指定機能も計画しています。フォーラムで多くのユーザの方から出された提案はもちろん、それ以外の数多くの進化も「Verve Painter」には起こり得ます。
私にとっては、さまざまなアーティストと触れ合い、何が好まれ、何が必要とされるかを知り、それに対して私が何か“新しい”ものを実現できるのかということが非常に重要です。
さらに、いつごろになるかはわかりませんが、モバイルデバイスのサポートも行いたいと思っています。Mac版やLinux版も提供したいです。
(Taron)