開発中に苦労した点
「Sleipnir 5 for Windows」の目玉機能である独自フォントレンダリングの開発には苦労がありました。最初にデフォルトフォントの検討を行い、可読性が高く、美しいメイリオを採用しました。ただ、サイトによってはMS Pゴシックなど、別のフォントを指定していることがあり、そういう場合にはサイトの指定を尊重し、それが表示されるようにしています。以上を踏まえ、メイリオで特に美しく、またほかのフォントでも十分美しくなるようなフォントレンダリングを目指しました。
フォントをレンダリングする部分をWindows標準のAPIを使わずに「FreeType」という高品質なフォントレンダリングが可能なオープンソースのライブラリで置き換えました。これにより、フォント本来の曲線で文字を描画することが可能になりました。
文字の濃さや太さ、アンチエイリアスのアルゴリズムといったパラメータをさまざまに組み合わせて試し、見込みのある組み合わせをいくつかチョイスして、さらに細かく調整を詰めて、最適なパラメータの組み合わせを選んでゆきました。
しかしながら、あらかじめ用意されたパラメータの調整だけではどうしても美しくならないケースがありました。調査するなかで、Blinkエンジンがフォントレンダリング結果に対して補正をかけていることが判明し、これが問題の原因であることが考えられたため、これを排除しました。その上で再度パラメータ調整を進めましたが、これでもまだ満足のゆく結果にはなりませんでした。
最後の手段として「FreeType」から得られた字形を補正するアルゴリズムを独自で開発し、適用することにしました。この補正アルゴリズムの調整にも手間隙がかかりましたが、最終的にはこれで満足ゆく結果が得られるようになりました。
ユーザにお勧めする使い方
ぜひ、「Sleipnir」のタブを使ってみてください。
「Sleipnir 5 for Windows」はサムネイルタブを採用していることが大きな特徴です。一般的なブラウザはページタイトルの文字でタブを表現していますが、「Sleipnir 5 for Windows」はページをキャプチャしたサムネイル画像で表現しています。
文字のタブではページと紐付いた文字列で識別するため、論理的な思考能力が用いられます。正確ですが、思考の負荷が高いため、タブを識別するスピードは遅くなります。また、文字は覚えにくく忘れやすいため、タブをたくさん開いたり、長期間開きっぱなしにしたりすると、タブを探しにくくなります。
一方、「Sleipnir 5 for Windows」のサムネイルタブでは、ページそのもののイメージで識別するため、感覚的な認識能力が用いられます。正確性では劣りますが、タブを識別するスピードは速くなります。また、イメージは覚えやすく忘れにくいため、たくさんのタブを開きっぱなしにして長期間置いておいたとしても、タブを探しやすくなります。
文字のタブに慣れ親しんだ方がサムネイルタブを利用すると、はじめは戸惑うかもしれませんが、慣れれば楽にタブを扱えるようになります。
最新バージョンの「5.1」では、タブバーの動作を一から作り直し、使い勝手を大幅に改善しています。アクティブなタブに近いタブは大きく、遠いタブほど小さく表示し、タブバーにすべてのタブが収まって表示されるようになりました。
また、タブバー上でマウスカーソルを動かせば、そのカーソル位置にあるタブを中心に、近くのタブが大きく表示されます。これにより、操作する機会の多いアクティブなタブに近いタブはひと目で見つけることができ、遠くのタブもマウスカーソルをなぞるだけでパラパラとめくるようにしてすばやく見つけることができるようになりました。操作の気持ちよさにもこだわっていますので、ぜひお試しください。
今後のバージョンアップ予定
「Sleipnir 5 for Windows」はまだまだ完成形ではありません。今後も「Sleipnir」の特徴である「デザイン」「ジェスチャ」「タブ」に力を入れて改善してゆきます。
また、旧バージョンの「Sleipnir 2 for Windows」「Sleipnir 4 for Windows」も定期的なアップデートを計画しています。
(フェンリル)