名前から連想される通り、「FTP/SFTP/FTPS専用の『Dropbox』」といった趣のソフト。オンラインストレージへのアカウント登録がいらない代わりに、自前のサーバを必要とする、といった程度の違いと考えればよいだろう。「きわめて重要なファイルなので、オンラインストレージに頼らず、社内サーバで同様の使い方をしたい」といったときに便利だ。もちろん本来の意味での同期に限らず、シンプルなファイル転送ソフトと割り切って使うこともできる。ファイルの保存場所さえ教えてあげれば、転送ソフトの操作がわからない人でも使えるのは、まさに「Dropbox」と同じだ。
ただし、Webサイトの更新などの用途では注意が必要だ。ローカル側でファイルを更新するたびに自動でアップロードされるので、不用意にファイルを公開してしまう可能性がある。Webページに限らず、どのようなファイルでも同じことだが、「ファイルの編集作業は別のフォルダで行い、完全に編集が終わったファイルだけを同期用のフォルダにコピーまたは移動する」といった配慮が必要だろう。
プロファイル(接続先サーバとローカルフォルダの設定をセットにしたもの)を複数登録しておくと、プロファイルを切り替えると同時に同期を行ってくれる。さらに、コンテキスト(右クリック)メニューからは、選択したファイルのみの同期を行うこともできるので、覚えておくとよい。
転送終了後の履歴やコンテキストメニューから選択したファイルをWebブラウザで開く機能があるが、プロファイルを登録しただけでは正しく表示できない場合がある。基本設定の「アカウントのフルパス」という項目に、FTPサーバ上のパス(“サーバ名/public_html”など)が登録されているためだ。http://〜ではじまるWeb用のパスに書き換えておけば、正しく表示される。
(福住 護)