昨今のスマートフォンの普及速度はめざましい。街中や電車の中などで携帯を使っている人も、最近ではもう過半数がスマートフォンを使っているのではないか、という印象だ。ここで必要となってくるのが、スマートフォンのデータのバックアップだろう。スマートフォンは、携帯電話の一種とはいえ、実体は小型のコンピュータそのものだ。当然のことながら、データの喪失に備えてバックアップが必要になる。また、スマートフォンは従来の携帯電話に比べ、扱えるデータのサイズや種類も豊富だ。特にインストールされる「アプリ」は、頻繁にバージョンアップが行われるし、あまりよくないことだが、バグや問題が発見されることもある。こうした場合にはこまめなアップデートが必要になる。
「Moborobo」は、そうしたスマートフォンのさまざまな管理を行うためのソフトだ。携帯電話の時代には、携帯電話とパソコンとを専用のシリアルケーブルやUSBケーブルで接続し、パソコンで管理する「携帯電話メモリ編集ソフト」が存在したが、「Moborobo」は、そのスマートフォン専用版と考えればよい。
実際、従来の携帯電話メモリ編集ソフトでも、バージョンアップを重ねて、近年はスマートフォンに対応しているものが多い。従来型携帯電話とスマートフォンとの間でデータ交換が行えるものもある。それらに比べると「Moborobo」は、従来型携帯電話に対応していない分だけ機能が足りないと思えるかもしれないが、その一方で、スマートフォンに特化しているという大きな特徴がある。
スマートフォン、特にAndroid機の場合は、仕様がオープンであるため、パソコンとのデータのやり取りに際し、独自に調査しなくても誰でもプログラムを制作できるというメリットがある。そこに「Moborobo」のようなフリーソフトが生まれる余地があるし、また携帯機器側にアプリをインストールできるため、パソコンと携帯機器との間でアプリケーション独自のプロトコルで連携させることができる。このメリットを活かしているのが「テーマ」のインストールであり、「Wi-Fiによるワイヤレス接続」といった、従来型のソフトでは実現できない機能だ。
こうした特徴を考えると、携帯電話がスマートフォンに置き換わったように、携帯電話の管理ソフトもまた機能の変化が必要だ。「Moborobo」は、まさにそうした変化を先取りしたソフトだ。
(天野 司)