短時間で気軽にプレイできる、楽しいアドベンチャーゲーム。「主人公が死にまくるデスゲーム」と聞くと、暗くて凄惨なゲームをイメージするかもしれないが、そうではない。むしろちょっとコミカルな、雰囲気の明るいゲームだ。確かに主人公は何度も死ぬし、死に様も壮絶だが、その際の初希と涼とのやり取りや、初希の表情などにより、陰惨な感じがまったくしない。なんといっても表情豊かな初希のキャラクタが、作品を明るく楽しいものにしている(現実にこんな猟奇的な殺人狂の娘がいたら、決して近寄りたくはないが……)。
ゲーム全体がコンパクトにまとめられ、ストーリーがテンポよく進む点や、たとえ死亡しても、直前の選択肢からやり直せる点も「幽霊少女館」を気軽に楽しめる作品にしている。アイテムも過不足なく、ちょうど1回ずつ(「鍋」だけは2回)使用する構成となっている。正解はすぐにわかるだろう。
むしろトラップを回避することなく、バンバン主人公を死に至らしめながら、初希のセリフや表情、シナリオなどを楽しむゲームだろう。エンディングのあとには、ちょっとしたオマケも用意されている。
(秋山 俊)