ダンジョン探索が半自動で進行する、ユニークなゲームシステムのRPG。探索の方針を「堅実」にしておけば、キャラクタが特に無謀な行動をするわけでもなく、無難にゲームが進行してゆく。慣れないうちは「堅実」を選んでおけば間違いない。半自動探索ということで一見楽に見えるが、結構歯ごたえもある。魔物や夜盗などと戦闘しても経験値がほとんど入らず、魔物を倒しても金を落とさない。お金を稼ぐには、拾ったものを道具屋で売るしかない。さらに町の宿屋に泊まらなければレベルアップしないので、レベルを上げたければ、何がなんでも町へ戻らなければならない。意外とシビアで、難易度は高い。長時間の探索をすることになるので、町では武器よりも防具を優先して購入した方がよいかもしれない。パーティが全滅すると、メルとビッグが漫才のような掛け合いをしながら攻略方法を伝授(?)してくれるので、ゲームオーバーになった際はアドバイスをよく聞いておこう。
ダンジョンの探索が中心で、シナリオ自体は軽めだが、キャラ同士の会話のやり取りは非常におもしろかった。果てしなくボケるメルに対し、ビッグが一つひとつ律儀に突っ込んでゆく様子はかなりおもしろい。ゲームの冒頭、記憶を失っている主人公にメルがいきなり変な名前をつけようとするので、思わず全力で回避してしまった。メルの主張する通りにつけていたら、主人公の名前は「マキシム佐藤」になっていたところだ。
オープニングは「魔法使いマリカの日記」というエピソードが流れる。「魔女のマリカが一人の子どもを助けて、しぶしぶ面倒をみる」という内容のショートストーリーなのだが、これが非常に心温まる物語で、思わず目頭が熱くなってしまった。先ほどシナリオは軽めと書いたが、とても感動できるストーリーとなっているので、このエピソードがのちのち本編にどう関わってくるのか、ぜひプレイして確かめていただきたい。独創的なゲームシステムを軸に、個性的なキャラのやり取りやハートフルなストーリーなど、見どころ満載のゲームとなっている。
(早川 陽子)