ソフトを開発しようと思った動機、背景
もともとは「小中学生に楽しく英語を学んでもらうために、クロスワードゲームを作りたい」というtei SOLUTIONS・池田様からのご依頼を受けて開発がはじまりました。以前所属していた会社で数年前に立ち上がったプロジェクトで、当初よりプログラムは私一人が担当していました。その後、いろいろ事情が変わりまして、当OldNewStudioが開発を引き継ぐ形になりました。開発はしばらく中断していましたが、3・11という出来事をきっかけに、再びtei TECHNOLOGY(tei SOLUTIONS)様より「被災地の子どもたちに届けたい」というお話があり、無料で配布するための「Ver.2」が企画されました。
Ver.2はプログラムの細部も新しく作り直し、グラフィックやサウンドも「元気が出る」ような、それでいて長時間見たり、聴いたりしても疲れないデザインを、外部スタッフの方々も協力して考えてくださいました。
開発中に苦労した点
プログラムについては三点あります。
まず一つ目は、自動生成ロジックを考案し、実装する部分です。英単語を連結しながらクロスワードを自動生成する過程を表示しています。センター位置を動かしながら、限られた画面スペースにうまく収まるよう表示するアルゴリズムを考えました。ノートと鉛筆を屋外に持ち出して、ああでもないこうでもないと……苦労はしましたが、一番楽しかった時間でもあります。
二つ目は、学習効果を高めるための単語選択ルールです。以前の職場のスタッフがアイデアのベースを考えてくださいました。それをもとに、覚えはじめた単語、練習中の単語、マスターした単語、間違えやすい単語などを内部で別々にスコア付けし、自動生成時に使用する単語の出現頻度を調整しています。これにより、苦手な単語が絶妙のタイミングで出現し、間違えながらも繰り返すことで、自然にスペルを覚えられるようになっています。
三つ目は、ユーザインタフェースです。マウスのみでプレイできるようにソフトウェアキーボードも表示していますが、キーボードのカーソルキーを使って入力欄を動かし、直接文字を打ち込んだ方がよりスピーディに進められます。その際にソフトウェアキーボードを動かしたり、ストレスなく単語の境界を越えて入力カーソルを移動させたりする処理に力を入れました。
グラフィックについては「楽しい図柄やキャラクタ」「はっきりした、きれいな色合い」といった点を考慮して描いていただきました。
ユーザにお勧めする使い方
自分で選んだ単語だけを使ってパズルを生成することもできますが、「トレーニング」を進めることが本パズルの基本です。繰り返しプレイしても、パズルは自動生成で毎回違ったパターンで配置されますので、飽きずにプレイできると思います。
今後のバージョンアップ予定
定期的な追加・更新を行うかどうか、いまのところ未定ですが、tei TECHNOLOGY(teiSOLUTIONS)様と公開・販売方法などを相談の上、辞書の拡充を考えています(現在のバージョンは無料です)。
「たんごマスター(Ver.2)」は、日本の中高生をメインターゲットとする英単語学習アプリですが、逆に日本語を組み立てたり、ターゲット年齢層や職種をいくつか絞ったりした、さまざまな企画が考えられています。iPhoneやiPadなど、スマートフォンやタブレットPC用も予定されています。
ひとこと
これからも「使って愉しくなる」ソフトウェアの開発と研究を進めます。よろしくお願いいたします。
(OldNewStudio)