「テキストエディタ」というカテゴリーの中では、間違いなく代表格といえるソフト。長い歴史の中で多くのユーザによって磨かれてきただけに、テキスト編集に関するありとあらゆる作業に適応できるといっても過言ではない。そんな「MIFES」がどこを強化してきたのかが注目されるところだが、特に力が注がれたのは検索・置換に関する部分のようだ。検索・置換の文字列を入力する「検索文字列」エリアは複数行の入力が可能になり、特定の文章やまとまった数行を検索することも可能。もはや「文字列検索」という呼び方では、言い表わせないのかもしれない。普通のユーザにとっては、数行分の文字列と一致するものを検索する機会などないようにも思えるが、例えばプログラムのソースコードやWebサーバのログなどから、繰り返し出てくるパターンを見つけ出すといった作業を考えると、かなり役立ちそうだ。新しく採用されたPerlタイプの正規表現やgrep検索でも、より細かな設定が可能になっており、使いこなし次第で作業を大幅に効率化できるだろう。
とはいえ「正規表現なんかさっぱりわからないし、何GBもあるようなファイルも扱うことなんてない」という人も多いだろう。そんな方も注目していただきたいのがCSVモードでの編集だ。
テキストエディタなのに、まるで表計算ソフトのワークシートのような操作が可能で、セル単位での選択からのコピー&ペーストなどは、テキストエディタではおなじみの箱型での文字列選択よりもさらに簡単。セル内の任意の場所で文字列を分割(次の列へ押し出す)したり、同じ内容の行をひとつにまとめたりといった、表計算ソフトにも見られないような編集まで行える。「CSVモード」と便宜的に呼ばれてはいるが、区切り文字はカンマだけではなく、タブやスペース、コロン、セミコロンなども指定できる。
ふだんは表計算ソフトでデータの編集・加工を行っている人でも、「MIFES 9」を組み合わせることで、さらに作業を効率化できるのではないだろうか。そういう意味では、これまでテキストエディタにあまり縁がなかった人にもぜひ注目していただきたい。
(福住 護)