ソフトウェアを作る、あるいはソフトウェアを使うときの考え方として「一本のソフトで何でもできれば便利」というものがあるだろう。「とりあえずこのソフトを起動すればたいていのものができる」ということになれば、あれこれ考える必要がないからだ。
しかし、そうやって作られたソフトが使いやすいかというと、それはまた、別の話になる。多くの機能を搭載すれば、それだけプログラムは大きくなり、起動や処理に時間がかかるようになる。操作もたくさんの手順を踏まなければならなくなる。「一見便利なように見えて、実情は逆」ということは、さほどめずらしいことではない。
一方、もうひとつの考え方として「単機能で、操作もできるだけシンプルなソフトウェアを使うのがよい」というものもある。そうしたプログラムは軽快に動作するので取り回しもしやすく、結果的に効率がよい(ことが多い)ためだ。Moo0のソフトウェアは、こちらの代表例だといってよい。今回紹介したソフトもすべて、単機能のシンプルなものだ。
Moo0のソフトウェアの特徴は「ユーザがしなければいけないことを最小限にとどめている」ということ。ファイルを生成したり、変換したりするときも、どうしても指定しなければならないファイル名やフォーマットはユーザに指定させるものの、あとはファイルをドロップするだけの超簡単操作で処理が実行できるようになっている。
これは、すごいことだ。ユーザのすることが最小限だということは、それ以外のことをソフト側でやっていることを意味する。「単機能ではあるけれども高機能である」ということができる。
単機能でシンプルなだけに“小品”のイメージが浮かんでしまうMoo0のソフトウェアではあるが、「ひとつの理想的なソフトウェアの形がそこにある」といったら誉めすぎだろうか。