4月にもなると「今年もそろそろかな」と思うのが「PowerDVD」新バージョンの登場だ。いつも決して少なくない新機能が追加されるが、今年は「UHD BD対応」が行われ、ここ数年の中でもかなり大型のバージョンアップとなった。UHD BDは、ビデオCDにはじまった「光ディスクメディアによる映像流通」での“最後のメディア”になるだろうといわれる動画ディスク規格だ。昨年、「PowerDVD 16 Ultra」が登場した時点で、すでにUHD BD規格の登場が明らかにされていただけに、「おそらく次のバージョンではUHD BDに対応するだろう」と筆者は予想していたが、その予想が当たった(もっとも、誰もが同じように予想していただろう)。
さて、そのUHD BDだが、再生に必要なパソコンのハードウェア要件は非常に厳しい。専用のドライブ、最新世代のインテルCPU、広色域対応のディスプレイなど、「パソコンを完全に新調しなければ再生できない」ほどだ。おそらく大半の人にとっては、たとえ「PowerDVD」が対応したとしても、それ以外のハードウェアが追いつかないだろう。
しかし、そこは「PowerDVD」のこと、抜かりはない。UHD BDでの目玉ともいえる4K解像度の再生やHDR再生など、UHD BDを再生できる環境がないユーザも満足できるような機能を搭載してきている。特にSDR映像を変換してHDR映像を作り出す機能などは、実際に体験してみたくなる人は多いのではないだろうか。
さらに、機能追加はこれにとどまらない。昨年にわかに脚光を浴びた「VR」にも対応してきたのだから驚いた。たしかに「PlayStation VR」の登場など、VRの搭載タイミングとしてはベストだったのだろう。こちらも専用のハードウェアを必要とするため、必ずしも万人向けとはいい難いが、とはいえ、これまでにない映像体験ができることは間違いない。
こう考えると、今年の「PowerDVD」は「これまでにない映像体験」に開発の重点が置かれているようだ。すでに環境が整っている方、これから整える方、いずれにとっても用意しておきたい“定番”ソフトだ。
(天野 司)