階層構造を利用して、文書の構成を検討したり、アイデアを整理したりするのに使われるのがアウトラインプロセッサだが、書き込んだテキストを活用して実際に文書を編集するのは意外に面倒な部分もあり、「試してはみたものの、あまり活用できなかった」という方も結構いらっしゃるのではないかと想像する。「HieraPad」の第一印象としては、そうした実用面にこだわって開発されたことがあちこちに感じられた。「エディタ部」の編集機能は端的にいって「メモ帳」程度のものだが、これは使い慣れたワープロやテキストエディタとの連携を重視したためだし、印刷機能についても同様だ。
選択したノードと同じ階層レベルにあるすべてのノードの内容を連結してひとつのテキストファイルに出力するというちょっとめずらしい機能があるが、これは例えば、章ごとに書き込んでおいたメモや補足情報などを省き、本文に相当する部分だけを一本にまとめるような使い方が想定されているらしい。なるほど、これなら最終的な編集や印刷の前にいちいちノード単位でワープロにコピー&ペーストする必要がなく、スムーズに作業を移行できる。
そのほかにも、エディタとは別にもうひとつ外部アプリケーションを登録できることや、表計算ソフトとの間でデータをやり取りできる階層付きCSVファイル(ノードの階層、ラベル名、本文テキストをカンマで区切ったもの)への対応など、「ほかのアプリケーションと連携しながら、執筆作業の核としての役目を担う」という狙いが感じられる。
既存のアウトラインプロセッサに不自由さやもの足りなさを感じてきた方にぜひ、試していただきたい一本だ。
(福住 護)