ネットワークの通信状態を調べるソフトといえば、速度やデータ転送量をリアルタイムに監視できるモニタがパッと思い浮かぶが、「Wireshark」はそこからさらに踏み込んで、流れているデータそのものを調べられる、かなり高度なソフトだ。ざっくりしたたとえでいえば、「物流を輸送トラックの台数や移動方向だけでおおまかに掴むのではなく、積み荷の内容まで事細かに調べる」ようなものだろうか。データを調べるには、まず通信をキャプチャする必要があり、キャプチャを開始すると、その時点からのパケットが画面上に表示される。時間の表示は、キャプチャ開始からの経過時間や実際の時刻などに切り替えることができ、さらに単位もミリ秒やマイクロ秒、ナノ秒などから選択・指定できる。
キャプチャした膨大なデータから目的のパケットを探し出す必要があるので、フィルタやマーキングなどの機能が充実していることや、さまざまな統計データを参照できることも特徴だ。
本来ならネットワーク機器やプログラム開発に携わる人が使うような超専門的なソフトだが、それが無料で利用できるのは驚き。この種のソフトを導入したくても価格面で手が出せなかったネットワーク管理担当者やセキュリティ担当者にとっては、大きな助けとなるだろう。
(福住 護)