8.1以前のWindowsとは異なり、Windows 10ではOSの製品名まで変更するような「メジャーバージョンアップ」がなくなった。Windows Updateでさまざまな機能を追加する「最新ブランチ」方式が採用され、数ヵ月ごとに大規模なバージョンアップが行われるようになった。これまでにも「November Update(Threshold 2)」「Anniversary Update(Redstone 1)」と呼ばれる大規模アップデートがリリースされているのはご存知の通り。こうした大規模アップデートのおかげで、無償で機能追加がなされることはユーザにとっては実にありがたい。しかし、同時に「障害」が増えてしまうのは困りものだ。「Windows10レスキューキットEX」は、これまで「Windows10レスキューキット」という名で呼ばれていたソフトの新バージョンにあたる。従来は、Windows 7からWindows 10にアップグレードした際に遭遇しがちな問題を解消する機能に重点が置かれていたが、「EX」では、それらの機能とは別にWindows 10自身のアップグレードに際して発生する問題にも対処しているのが特徴だ。
こうした事情を考えると、Windows本体の名称が「Windows 10」のまま変わらないのは、「Windows10レスキューキット」のようなソフトにとってはちょっと可哀想にも思える。「EX」がついたとはいっても、名前の変化はわずかなもの。詳細機能を比べるとその進化はわかるが、詳しくない人にとっては、いかんせん詳細な機能変化は目立ち難い。
しかし、OSの内部を調整するようなソフトであれば、OSの変化に合わせて、そのOSに合った新しいバージョンを使用することは当然(OSの深いところを調整するのだから、あたりまえ)。Windows 10のアップグレードで「機能追加されたのはいいものの、なんだか不安定になった」と感じる方には、ぜひともお試しいただきたい新バージョンだ。
(天野 司)