コピー/移動元とコピー/移動先が1対1だけではなく、多対1や多対多での処理ができるところがミソ。特に多対多の場合は、複数のコピー先に同じファイルやフォルダが作成されるので、多重コピーが簡単に行える。これは当然、重複ファイルがたくさん作られることでもあるので、その後のファイル管理が重要になるが、手軽に使えるバックアップソフトとして重宝しそうだ(もちろん、多対多の必要がないのであれば、コピー先フォルダをひとつだけにしておけばよい)。
設定を保存できるだけでなく、「コピー操作一覧」リストから選択してすぐに実行できるので、複数の設定を使い分けたり、同じ設定を繰り返し利用したりするのにも便利。設定を登録するもうひとつのメリットには「更新ファイルの自動コピーや移動も可能になる」ことがある。「AllCopy」自身が起動していることと、監視フォルダ内のファイルが100個以内というちょっとした制限はあるが、常駐監視タイプのソフトを別に用意する必要がなく、手軽なのがよい。
さらに「選択したファイル/フォルダだけをコピー/移動する」オプションもなかなかユニークなので、念のため補足しておきたい。これは、拡張子などを使ったフィルタ機能ではなく、リストに登録したアイテムからさらに選択したものだけをコピー/移動の対象にできるもの。普通に考えると「コピーしたいアイテムをリストに登録するのだから、そこからさらに選択するというのがわかりにくい」かもしれないが、設定ファイルの保存と組み合わせると、これが俄然、意味を持ってくる。つまり設定ファイルに登録しておいたファイル/フォルダの中から「いま、その場でコピー/移動したいものだけ」を選べるわけだ。加えて、コピー/移動先フォルダの方でも同様の選択が可能なので、うまく使えばムダに重複ファイルを増やさずにすむ。
「実行」画面には「設定読み込み」ボタンがあり、これをクリックすると、リストで選択している設定が読み込まれて「設定」画面に切り替わる。ということは、設定を選択してそのままコピーや移動を行えるだけでなく、一部の設定を変更した上で実行するのにも便利な仕様となっているわけだ。
「特に重要なデータファイルだけを手早くバックアップしたい」「日常的なファイル管理の手間を省きたい」といった方にお勧めしたいソフトだ。
(福住 護)