フリー版ながら充実した機能というか、オプション設定が豊富なことにびっくりする。そんな中でまず押さえておかなければならないのは「ファイル/フォルダ単位でのバックアップを行うソフト」だという点。つまり、ディスクやパーティション単位でのバックアップを目的としているわけではないので注意しよう。バックアップ設定は「プロファイル」と呼ばれるが、これは一般的にいうところのバックアップタスクと同じと考えればよい。ただし、「SyncBackFree」では、複数のプロファイルをひとつにまとめて「グループ」を作成できるが特徴。グループもプロファイルの一種と考えることができるが、ソースやデスティネーションの代わりに既存のプロファイルを登録する。
グループのオプションとしては、プロファイルと同じく「いつ」(実行スケジュール)を指定することが可能。つまり「同じスケジュールで実行したいタスクをひとつにまとめるためにグループを作成する」と考えるとわかりやすい。逆に言うと、個々のプロファイルで指定できるソースやデスティネーションはそれぞれひとつなので、複数のフォルダの内容をまとめて処理したいときは必然的にグループを作成することになる(あるプロファイルのコピーを作成してソースとデスティネーションを変更してもよいが、管理を簡単にするという意味ではグループ化した方がよい)。
グループに関するオプションは実行スケジュールのみでシンプルなのに対し、プロファイルには実にさまざまな設定項目がある。とはいってもシンプル表示を選んでおけば、事実上は実行スケジュールの設定ぐらいだ。バックアップファイルの圧縮・暗号化やファイルの比較方法などを指定したいときはエキスパート表示に切り替えよう。
設定オプションの中でおもしろいのが「検索」だ。クリックしても検索ボックスと空のリストが現れるだけなので意味がわかりづらいが、実は設定項目名やパラメータなどの一部の文字を入力すると、マッチした項目が一覧表示され、クリックで設定画面に移動できる。つまりバックアップ用のオプションそのものではないのだが、設定項目がどこにあるかわからなくなったときには便利な機能だ。
そのほかにも細かいところにさまざまな工夫がある。例えば、バックアップ対象ファイルを確認するためのシミュレート画面上で直接、ソース→デスティネーションや逆方向のミラーリングを実行できたり、ロールバックが可能だったりする。シミュレート画面上になんで? と最初はびっくりするが、慣れてくれば使い勝手はよさそうだ。
多言語対応のソフトで、現行バージョンではわずかに日本語化されていないメニュー項目なども残っているが、表記自体は特に怪しいところもなく、わかりやすいので安心だ(ただし、ヘルプは英語版)。
名前の通り無料で利用できるが、上位版には「SyncBackSE」や「SyncBackPro」といった有償版もある。「SyncBackSE」は差分/増分バックアップにも対応、「SyncBackPro」はさらにDropboxやGoogleドライブなどのクラウドストレージを利用できる。興味のある方はこれらもチェックしてみていただきたい。
(福住 護)