ソフトを開発しようと思った動機、背景
2〜3年前、画像上の物体の長さや面積の情報を注釈として画像に付ける必要があったのですが、こうした作業に適したツールはほとんどありませんでした。実際に私だけでなく、ほかの方々も同じ問題を抱えていたはずです。Microsoft Paintを選択する方もいるでしょう。私たちのクライアントもそうでしたが、結果はまるで子どものお絵描きのようでした。以下がMicrosoft Paintで注釈を付けた例です。
あるいは画像の上に手書きで注釈を書いて、それをスキャナで取り込む方もいるでしょう。次がその例です。
ご覧の通り、あまりいい出来ではありません。もちろんプロの水準にはほど遠いものです。こうした作業を支援してくれる強力なグラフィックツールもあるにはあるでしょうが、一般ユーザ向けではなく、プロのグラフィックデザイナー向けです。プロ向けツールの問題点としては、- 高すぎる──画像に注釈を付けるだけのために200〜300ドルを払うことはできますか?
- 難しすぎる──学習曲線は険しいものになります。何か簡単な作業をひとつやる前に、レイヤやカラーテーマ、曲線について理解するために数週間から数ヵ月を費やす必要があります。山のような複雑な機能を装備していますが、あなたが必要なのはそのうちの小さなサブセットだけです
- 大きすぎる──インストールするのに1GBあるいはそれ以上のハードディスク容量があっという間に消費されます
こうした理由から私は「iPhotoDraw」の開発を開始しました。「iPhotoDraw」の特徴
「iPhotoDraw」は、一般ユーザ向けのシンプルなグラフィックソフトとして開発しています。「簡単に使える」ことこそ、開発をする上で私たちが最重要視する原則です。メニューバーやツールボタンをご覧いただけば、特徴の多くがおかわりになるかと思います。例えばオブジェクトの線の太さや色を変更しようと思ったときに、適用結果をリアルタイムで確認することができます。
ほかのポピュラーなグラフィックデザインソフトやMicrosoft Officeと構成も似ています。もし、ほかの同種ソフトを使った経験をお持ちなら、「iPhotoDraw」は違和感なく、すぐに使うことができるようになるでしょう。通常、ダウンロードしたソフトを数分使ってみれば、使い方が理解できます。そこに学習曲線は存在しません。
「iPhotoDraw」はシンプルですが、基本的な機能しか備えていないという意味ではありません。実際、いくつかの先進的な機能を搭載しています。ただし、一見してそれとわかるものではなく、理解するのに時間と努力が必要かもしれません。しかし、一度使い方をマスターしてしまえば、複雑な作業もこなせるようになり、生産性が上がります。例えば「iPhotoDraw」では、豊富な種類の矢印を使うことができます。これらの矢印はドロップダウンリストで簡単に選択することができます。さらにユーザがオリジナルデザインの矢印を作成し、リストに追加して利用することも可能です。エクスポート/インポートして、ほかのユーザと共有することもできるのです。
「iPhotoDraw」には、システムへのインストールが不要なポータブル版もあります。USBメモリにコピーして、持ち運んで使うことができます。今後のバージョンアップ予定
近日中に「iPhotoDraw」独自のファイル形式を開発する予定です。「iPhotoDraw」が好きというユーザの理由のひとつは、オリジナルの画像に変更を加えないことでしょう。現在は注釈情報をXMLファイルに分離格納していますが、ユーザには若干不便な面もあります。そこで次のリリースでは、オリジナルの画像ファイルと注釈情報ファイルとをひとつのファイルに結合しようと考えています。
もう少し将来的な話をすれば、次のようなことを考えています。
- 動画キャプチャ機能──「iPhotoDraw」にはスクリーンキャプチャ機能がありますが、取り込めるのは静止画だけです。将来的には動画の取り込みを可能にし、テキストや矢印で注釈を付けたり、動画を呼び出したりできるようにしたいと考えています
- ベジエ曲線やほかの先進的なツール──ベジエ曲線はグラフィックデザイナーにとって強力なツールです。これを使えば、さまざまな形状のオブジェクトを作ることができます。同時にさまざまなビジネス用途──例えば教育、医療、工学など──に使える、あらかじめ定義されたオブジェクトのパッケージを提供したいと考えています
- iPadやほかのタブレットでも利用できるようにiOS版、Android版の開発
(Simen Wu)