軽快な動作やタブ表示、ジェスチャなどの機能で人気を集めたWebブラウザ「Opera」の元CEOが、2015年に新たにスタートさせたブラウザが「Vivaldi」だ。そのためか、スピードダイヤルやタブスタッキングといった機能で「Opera」を踏襲する一方、タブの使い勝手をさらに高める工夫やキーボードを重視したインタフェースなどの独自性も盛り込まれている。特にページの閲覧性やたくさんのページを開いた際の識別性には注意が払われたようだ。例えばタブの表示位置は、画面上部だけでなく、左右や下部に変更することもできるが、単に表示位置を選べるだけではない。左右に表示させるとタブのサイズが少し大きくなり、ページの一部まで表示されるようになるし、キャプションバーに当たる部分にページタイトルが表示されるようになる(これはタブを下部に配置した場合も同様)ため、タブの識別が容易になる。そのほか、サイトのテーマカラーに応じて(?)タブの色が自動で変わるのも、識別性のアップに貢献するだろう。
関連性のあるページを任意にあるいは自動識別でひとつのタブにまとめてくれる「タブスタッキング」は、タブの数を減らすのに有効だが、まとめられたページを横並びに配置することで、複数のページを同時に並べて読み比べることもできる(タイリング機能)。MDI形式のドキュメントを整列表示させるのにちょっと似ているが、あくまでひとつのタブ上でのタイリングとなるので、ほかのタブには影響しない。
タイリングとは別の機能になるが、Webパネルにも任意のページを表示させることができる。大型のモニタであれば「気になる記事をタイリングで比較参照しながら、さらにWebパネルで最新ニュースをチェックする」といった使い方も十分に実用的だろう。
Webパネルにはブックマークやメモ(スクリーンショットの保存やURLの入力が可能)の機能もあり、サイトへのアクセスから情報の記録まで、さまざまな使い方ができるようになっている。
外見だけではちょっとわかりにくそうなのが、「進む」「戻る」とは別にツールバーに用意された「早送り」「巻き戻し」ボタン。近年よく利用されるようになったページネーション(ひとつの記事をいくつかのページに分割し、ページ選択ボタンで切り替えられるようにしたもの)に対応したもので、記事上のページ切り替えボタンを使わなくても、前後のページに移動できる。
そのほかには、キーボードによる操作が重視されているのも特徴のひとつで、
- 【Shift】キー+カーソルキーでフォーカスを自由に動かせる「空間ナビゲーション」
- あらゆる操作をひとつのショートカットキー経由で呼び出せる「クイックコマンド」
- フルカスタマイズ可能な「ショートカットキー設定」
などの機能がある。クイックコマンドのカスタマイズも可能なようだが、まだベータ版のためかヘルプが見当たらず、くわしい設定方法がわからなかった。しかし、ブラウザとしての基本的な機能はすでに備えているし、「Google Chrome」用の拡張機能が使えるのも大きな魅力だ。将来的には電子メールクライアントも搭載する予定とのことで、今後の展開にも期待したい。
(福住 護)