かなり複雑で多機能なソフトだが、簡単にいってしまうと「定型文の入力支援ソフトに、オートコンプリートやオートコレクトなどの機能を組み合わせたもの」をイメージしてもらうとてっとり早い。完全に固定化された定型文ならそのまま貼り付けられるし、文の途中に固有名詞や日付、時刻などが入る場合は、その場に応じて入力したり、自動処理による挿入を行ったり、予測変換のように候補を表示して選択を促したりなど、柔軟な操作で文書作成を効率化する。その一方で、アプリケーションの起動やWebへのアクセスといったランチャ的な使い方で、文書作成以外の日常業務もサポートしてくれる。
筆者がテストした範囲では、残念ながら一見正しく日本語を登録できたように見えて、実は一部文字化けしてしまうという現象が見られた。編集画面では問題ないように見えるのだが、実際にフレーズを挿入してみると文字化けしているので、あらためて編集画面を開いてみると、やはり文字化けしている。特定の文字が常に化けるというわけでもないようなので、稀な現象かもしれないが、フレーズを登録したらすぐ確認するように心がけたい(編集部注:文字化けを回避する方法は「PhraseExpressのVersion10で日本語が文字化けして使いものにならないバグを回避する方法」が参考になる)。また、テスト用として登録したフレーズを貼り付けたあとに、エラーメッセージなどもなく、常駐が終了してしまうという現象もたまに発生したことも書き添えておく。
機能が多い一方で、日本語化は行われていないので、使いこなすにはかなり習熟が必要となりそうだが、マクロの使い方をマスターすれば、フォームへの入力を自動化することも可能だろう。ビジネスでの利用は有料となるが、ニュースレターやプレスリリースなどでたくさんの文書を作成する人にとっては、強力なパートナーになりそうだ(個人での利用は無料)。
(福住 護)