ソフトを開発しようと思った動機、背景
「ストレスフリー」「セキュリティにまつわるストレスの一切ないオートロック/ロックオープン」が開発の動機です。朝、会社に出勤してパソコンの電源を入れれば自動的に使用できる。セキュリティは掛かっているが、全自動で自分は意識する必要がない──これをコンセプトに開発しました。後述の通り、セキュリティは重要です。ですが、セキュリティを強化するほど息が詰まり、身動きが取れなくなり、結果、パソコン上の処理が停滞する本末転倒が起きます。「空気のようなセキュリティを作るにはどうしたらよいだろうか?」──ここからこのプロジェクトははじまりました。用途は? もちろん「私がほしいから!」です。
***
「ある日、会社から帰ってきてパソコンの電源を入れたら、パソコンの中身が全部消えていた」
「おもしろいからと、子どもがデスクトップのアイコンを全部、ごみ箱に入れて遊んでいた」誰でも経験した、あるいは聞いたことがあると思います。
会議、打ち合わせで席を立つと自動的に鍵が掛かる。あるいはトイレに席を立つと自動的に鍵が掛かる。席に戻ると自動的に開錠する。
現在、パソコンは預金通帳そのものと化しています。SOHO、中小企業の社長のパソコンはその企業の全資金を自由に操作する端末と化しています。ベクター、Amazon、楽天、銀行の振り込み……いまやパソコンは預金通帳そのものと化しています。
誰かがパソコンを触り、不正送金をしたら!?──オンライン決済をしたことのある人ならば、誰でも一度は考える懸念点です。知らない間に家族が、社員が自分のパソコンを触っていたらと考えると不安だらけです。
パスワードによるパソコンの鍵掛けは基本中の基本ですが、壁にベタベタとパスワードを書いた貼り紙をしているのが実情ではないでしょうか。以前、某公共団体の事務所に行ったら、壁にベタベタパスワードが貼ってありました。これではまったく意味がありません。こういうことを防ぐにはどうしたらよいか? 空気のようなセキュリティを作る必要があるわけです。
既存のセキュリティとスマートフォン
(1)従来のパスワードによるセキュリティ
基本中の基本ですが、ちょっと席を立ったときにロックし忘れるという問題があります。企業では壁にパスワードという問題あり。
(2)生体認証(指紋、静脈認証、虹彩認証)
ショッカーの秘密研究所、小説に出てくる犯罪結社では必須アイテムです。生体認証というのは銀行カードや企業機密、軍事機密のようなものに使うべき技術で、空気のようなセキュリティの対極のようです。
(3)FeliCa/カードによるセキュリティ
弊社で考える空気のようなセキュリティに一番近いのがコレ。難点はカードリーダが必要なこと。したがって、持ち運びするノートパソコンでは不可。首からFeliCa/カードをぶら下げる運用をしなければならなく、やはり難があります。
(4)USBメモリによるセキュリティ
総合的に一番優れているのがこれでしょうか。ただし、USBコネクタは意外と脆く、抵抗があります。さらに、刺しっぱなしにした場合、完全なオートロックができないという問題もあります。
(5)いまや小学生でさえ持っている携帯電話/スマートフォン
誰でも持っている携帯端末の発する電波ならば、空気のようなセキュリティが実現できます。
開発中に苦労した点
苦労はMSにはじまり、MSに終わる──iWビーコンは当初、Bluetoothで実装を計画していました。……そうなんですが、Windowsの標準Bluetoothは基本機能しかサポートしていません。別名「手抜き」です。Bluetoothの発する電波の強さを管理する機能をMicrosoftは作らなかったのです。2006年前後にMicrosoftはBluetoothに対応していますが、以来10年近くメンテナンスモードです。
力技でBluetoothによる実装をしようかと思いましたが、Wi-Fiも捨てがたい。いや、普及を考えるとWi-Fiの方が合理的か? Bluetoothのないノートパソコンはあっても、Wi-Fiのないノートパソコンはないと推考し、Wi-FiによるiWビーコンの実装と相成りました。
ユーザにお勧めする使い方
パソコンのロック(施錠)の感度は、はじめは鈍感に設定してください。Wi-Fiの電波は結構ゆらぎが大きいです。スマホの電波は意外と指向性が強いです。ドーナツを立て切りしたような特性を示します。したがってパソコンが拾うスマホの電波が100であったとしたら、80くらいを設定してみてください。スマホを縦にしても横にしても、オートロックが誤動作しないようにしてください。次に徐々に感度を上げてみて、自分に使いやすいアタリを見つけてください。
・上手にセキュリティを上げる方法
ビジネスマンならばYシャツの胸ポケットにスマホを置くというように、いつも置いておく場所を決めるとよいです。デスクの上で充電している人は、縦型の充電スタンドを併用しましょう。スマホは縦にしたときに一番電波が飛びます。つまり、パソコン側のセキュリティを敏感にできます。そして離席するときにはスマホを手に取るクセをつけましょう。まあ、これはみなさん、すでにクセがついているはずなので、問題はないと思います。スマホはバッテリーが持たないですからね。
・SOHO、中小企業のビジネスマンの推奨
朝、会社に行ったら、Wi-FiテザリングをONにしてデスクに座る。夜、退社するときにWi-FiテザリングをOFFにする。これで空気のようなセキュリティが実現します。「PeopleLogOn」は1台のパソコンに10個までのスマホ、USB、FeliCaを鍵として登録できます。管理者のスマホ/USBを万能キーとして、各担当のキーを登録できます。100人以下の小規模な事業所に最もローコストなセキュリティを提供します。
・iPhoneユーザ
iPhoneはWi-Fiテザリングの常時ONの設定に少しクセがあります。次の条件のいずれかのときに常時ONとなります。オフィス、家庭に入ったときに次の処置をする。出るときは解除するというクセをつけると便利です。
- テザリングしている接続数があるとき
- 「インターネット共有」画面にいるとき
- 「設定」→「一般」→「自動ロック」を「しない」のとき
今後のバージョンアップ予定
To be or not to be. 力技でBluetoothに対応させるか? 悩んでいます。昔IrDA(赤外線通信モジュール)、いまBluetooth、そのココロは?──OSが対応しなかったため、いまいち普及しなかった機器です。現在、BluetoothはWindowsの場合、Microsoft標準のプロトコルスタック(要はドライバのこと)だと主要な機能しかなく、細かい機能が使えません。逆にBluetooth機器に付いてくるプロトコルスタックを使うと、Microsoft標準の機能しか使えない問題が起きています。あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず。というわけで悩んでいます。
((有)電机本舗)