発想したものを自由に書き込み、さらにそこからのフィードバックが新たな発想へつながる──というように、いろいろ書きとめてゆく過程そのものが考える作業を助けてくれるのがマインドマップ。「マインドツリー」は、カテゴライズとしてはマインドマップ作成ソフトといった位置付けになるかと思うが、いわゆるビジネスグラフィックソフトのように「オブジェクトを整列して、きれいに配置する」といった機能はあまり重視されていない。
マップの形は放射状のみで、組織図のように階層構造的な表現や時系列順に直線的に並べるようなパターンには対応していないし、先に書きとめておいたアイデアをつなぎ合わせてゆくボトムアップ的な使い方とも異なり、枝を伸ばしてゆくのが主な作業となる。つまり「マインドマップ風にも使えるソフト」ではなく、「マインドマップそのもの」を目指しているというところがポイントだ。
したがって、ビジネスグラフィックソフトなどと比べると、機能面はかなりシンプル。考える作業を邪魔しないように操作も簡単で、ブランチの描き方やカーブの修正といった機能も、発想を書きつけるのに必要最小限のものに絞り込まれている。
本来のマインドマップは紙に手書きするものらしいが、それに対してパソコン用ならではの利点としては、ブランチごとに簡単にクリップアートを追加したり、メモを書き込めたりといったところだろうか。さらにパソコンらしさを追求するとすれば、ファイルを添付したり、ハイパーテキストリンクを利用したりといった方向もあるかもしれない。
思考支援と発想の整理そのものを重視する方、シンプルで柔軟性の高いマインドマップ作成ソフトを求める方に特にお勧めしたい。
(福住 護)