Office 2007から搭載された「リボン」は、それ以前まで使われていたツールバーに代わる、機能呼び出しのための新たなユーザインタフェースだ。登場後7年も経っている上、最近ではWindows 8/8.1のエクスプローラなどでも使われているので、“新たな”と表現するにはやや語弊があるが、それでも、いまいち普及していないというか、歓迎されているとは言い切れない部分もある、微妙なUIだ。その理由を筆者なりに考えてみると、やはり「機能がどこにあるかを探すのに時間がかかる」ところに原因があるのではないかと思う。少ない手順で機能を呼び出せるのがツールバーなのに、最初にタブを選択するというステップが「すばやさ」という印象をスポイルしている。
その点、「Word便利機能ボタン集」のスタンスは、リボンの“いまいちさ”を解消するのにはかなり役に立つ。文字スタイルの設定や検索、ファイル操作など、機能自体のカテゴリーに関係なく、とにかく使用頻度が高い機能をひとつの「便利機能ボタン集」リボン内に集めるというスタイルをとっているからだ。カテゴリーごとに機能を整理してまとめるという、ある意味「リボン」のポリシーには反するまとめ方だが、これが何とも快適。もともとWordに備わる機能を1ヵ所に集めるだけでこれだけ使いやすくなるのか、と思えるほどだ。
もちろん、音声プレイヤーや定型文の挿入、数値表記の一括変換など、本来Wordに搭載されていないさまざまな機能の作り込みが「Word便利機能ボタン集」の第一のセールスポイントであることはいうまでもない。使用頻度の高い機能の集約とあわせ、さまざまな配慮や工夫の積み重ねが、ソフトの使い勝手を向上させるポイントだろう。
(天野 司)