「DesignSpark Mechanical」は、機械設計・製造に使われる3Dモデルをパソコンで作成できる3D CADソフトとしてかなり高機能であるにもかかわらず、完全に無料で利用できる。企業提供のソフトには「無料版」と謳いつつ、製品版に比べると機能が限定されていたり、試用期間が設定されていたり、あるいは広告が表示されたりといったこともあるが、それもない。唯一の制限といえば、使いはじめる前に氏名や会社名、住所といった、ユーザ登録が必要だという点のみだ。ここまでのソフトが無料なのはなぜ? と思う人もいるかもしれない。このソフトを提供するアールエスコンポーネンツ(株)は、電子・電気部品や機械部品などを販売する商社であり、企業向けをメインとはしているものの、ものづくりに係るすべての技術者に対してもそうしたパーツを小口販売してくれている。普通は入手できないような細かなパーツを、日本全国(あるいは世界中)どこでも手軽に入手できる、ものづくり技術者にとっては実にありがたい会社なのだ。
一方で、いくら電気・機械部品の入手が簡単になったとしても、それらを使って実際に動作する「完成品」を作成するには、綿密な設計が必要。そうした設計を行うには、CADやCAEといったコンピュータによる補助が必要となる。アールエスコンポーネンツ(株)がCAD/CAEソフトを無償で提供してくれるというのは、この点にある。優れたCADソフトがあれば、設計効率は上がるし、ましてそのソフトで使われる3D部品と、実際にRSオンラインで購入できる現実の部品とがリンクしているとなれば、なおさらだ。
そうした事情はさておき、これだけの機能を持つ3D CADソフトが無料で利用できるのは、個人ユーザにとっては非常にありがたい。最近は3Dプリンタも個人で入手可能なものが増えてきているし、3D設計に興味がある人にとっては大きなメリットがあるソフトだ。
(天野 司)