パスワードや個人情報を手軽に管理できるだけでなく、徹底して安全性を高めたところが特徴。マスターパスワードに加え、キーファイルを組み合わせることで、起動時や使用途中でのロックがより強固なものになるし、プログラム本体やデータファイルをUSBメモリで保管しておくことで、データ漏洩のリスクをさらに軽減できる。これは運用の柔軟性にも貢献しており、USBメモリを持ち運ぶことで、さまざまな場所でパスワードデータを利用できる。エントリ管理の面も充実している。パスワードを登録する時点でキーロガーから情報を抜き取られないようにするためのソフトウェアキーボード、期限が近づいたエントリに対する警告、期限切れエントリの一括検索などの機能を備え、メンテナンス性と安全性を高めている。パスワード登録時にはパスワードの強度を「解読されるまでの推定所要時間」で教えてくれるのもわかりやすい。
実際、筆者がふだんWebサービスのログオンに使っていたあるパスワードは「3.95秒で解読可能」と判定されたのには少なからずショックを覚えた。人間の目には複雑でも、マルウェアにとっては簡単に解読できてしまうレベルだというのが実感できる。強度を高や中といったあいまいな形で判定するのに比べると、より切実に安全性を高めようという気にさせてくれる。
一方、ちょっと残念だったのが、クラウドストレージを使ったデータファイルの管理だ。Google Driveのアカウントを登録した上で管理画面から新規のパスワードリストファイルを作成してみたのだが、ファイルはなぜかローカルマシン側に作成されてしまう。それならということで、そのファイルをGoogle Driveにアップロードして開こうとしたが、これもうまくいかなかった。正常に動作すれば、データ保管の安全性、利用場所の柔軟性の両面からかなり使える機能だと思うが、もう少し深く機能を理解する必要がありそうだ。
ちなみに同じ管理画面からUSBメモリを選択して新規パスワードリストを作成した場合も、やはりローカルドライブ上に保存されてしまったが、こちらはファイルをUSBメモリ上に移動した上で正常にアクセスできることを確認できた。
(福住 護)