ディスクへの書き込みなしでWindowsを運用する──いわゆる「ROM化されたWindows」という考え方だ。普通の使い方をする分には必要性を感じない人が多いだろうが、実は用途によっては非常に有用な機能だ。例えば自動販売機やATM、デジタルサイネージといった「組み込み用途」では、ディスクの内容が勝手に書き換えられないということは、セキュリティを確保する上では極めて重要。ディスクへの書き込みがないということは、普通のWindowsとは異なり、いきなり電源をOFFにしても問題ないということを意味する。いきなりコンセントを抜いても問題ない、ということも組み込み用途にとっては必要な機能だ。
こうした用途向けに、マイクロソフトでは「Windows Embedded」を用意している。見た目は普通のWindowsと何ら変わりないが、書き込み可能なディスクなしでも運用できるモジュールなど、組み込み向けのさまざまな機能が追加されたバージョンのWindowsだ。しかし、残念ながら一般向けには市販されていない。
「HD革命/WinProtector Ver.4.5」は、まさにこうした「ROM化されたWindows」を実現するためのソフト。「Windows Embedded」とは異なり、組み込み向けだけを目的としたものではないが、特徴自体は似通っていて、「勝手にディスクを書き換えられない」「勝手にソフトをインストールされない」「リブートすれば初期状態に簡単に戻せる」といった特徴を備える。
実は──特に学校教育向けなどに──増設ハードウェアを使って同じ機能を実現するような製品はいくつか存在する。ただし「HD革命/WinProtector」ではそれをソフトウェアで実現している点が大きなメリットだ。ソフトで実現することで、低いコストで目的とする機能が実現し、柔軟性も向上する。ビジネス用など、分野がある程度限定されるかもしれないが、こうした機能を必要とする人にとっては実にありがたいソフトだろう。
(天野 司)