内容が非常に専門的なので、正しく説明できているか心もとないが、おおざっぱに言ってしまえば、「写真をもとにした測量ソフト」といったところ。もちろん、デジタル画像上で実寸を測定するわけにはいかないので、基準となる点を決める必要があり、これを行うのが「座標設定」の役割だ。付属するプロジェクトのうちサンプル1では、海藻の長さや面積を測定する例が紹介されているが、この画像では1cm間隔で引かれたグリッドの上に海藻を置いて撮影した画像が使用されている。これによって、現物の1cmが画像上ではどれくらいに相当するのかわかり、あとは海藻の輪郭をなぞってポイントを登録してゆけば、変換式にもとづいた計算が可能となるわけだ。
サンプル2では、海底の写真から四角いエリア内を測定するのだが、20cm間隔でつけられたビニールテープのマーキングをもとに「AreaQ」の編集画面上でグリッドを作成することで、正確な座標を割り出すための基準としている。また、空中撮影された写真を使用するサンプル3では、マーカーの位置に経度と緯度の情報を使用する。
このようにして基準となる座標の設定が終わったら、あとは写真に写っている物体の輪郭をポイントとして登録してゆけば、二点間の距離や面積を計算することが可能。データをグループ化することで、グループ単位で解析を行ったり、個体数を数えたりといった使い方もできる(例えば、たくさんのボールが写った写真から、バスケットボールはx個、サッカーボールはy個といった形でカウントできる)。
主な用途は学術調査などだろうが、学校でもGPSログの経緯度情報を利用して地理の学習教材に使ったり、生物の飼育や植物観察記録用に使ったりできそうだ。ほかにも、釣った魚の大きさを正確に記録するとか、いろいろな建築物の高さを測定してみるとか、アイデア次第では個人でも結構使えるかもしれない。
(福住 護)