手動の歯車式計算機をパソコン上で再現した、ユニークなソフト。計算の過程を見ることができ、計算の仕組みを理解するのに役立つ。「GearTypeCalc」は、ダイヤルや歯車などの機械部品の組み合わせによって数値計算を行う「歯車式計算機」の動作をパソコン上で実現したソフト。ダイヤルレバーで行う数値入力、計算時のハンドル回転など、歯車式計算機の操作性そのままに、最大10桁までの数値同士の加減乗除算を行うことができる。
機械式計算機にはいくつかの方式があるが、「GearTypeCalc」のもととなっているのは「オドネルの計算機」または国産の「タイガー計算器」タイプで、
- 0から9までを選択できる複数のダイヤルで(計算対象となる)数値を設定し、側面に用意された手回し式のハンドルを計算したい数字に応じて回転させることで、ギアの組み合わせにより、自動的に計算結果が表示される
というもの。計算機本体にはそのほかにも、表示された数値をリセットするためのレバーや、桁送りをするための横動可能なキャレージなど、いくつかのメカニズムが搭載されている。「GearTypeCalc」では、こうした「計算機械」の動作がソフトウェアによって忠実に再現されている。例えば足し算なら、
- まず、元の数(足される数)を上部のダイヤルで入力し、ハンドルを一度だけ回転させる(入力した数値が右ダイヤルにコピーされる)
- 次に、足す数をやはり上部のダイヤルで入力し、ハンドルをもう一度回転させる
この操作で、計算結果が下の表示窓(右ダイヤル)に表示される。掛け算の場合は、最初に掛けられる数を上部のダイヤルでセットする。次に、掛けたい数の一番下の桁の数字の分だけハンドルを回す。回し終わったら、キャレージを一つ移動させ、下から二番目の桁の数字の分だけハンドルを回す。……これを繰り返し、すべての桁の分だけハンドルを回し終わると、右ダイヤルに計算結果が表示されている。
小数点位置を示すスライド式の指針や、入力された数字をクリアするためのレバー、掛け算と割り算を切り替えるためのレバーなども再現されている。ダイヤル、レバー、ハンドルなどは、単純にマウスの動きをフォローするだけでなく、操作する際には、実物の計算機に即したリアルな動きをするよう工夫されている。操作に応じてリアルな音も鳴り、まさに本物の歯車式計算機を使っているかのような気分にさせてくれる。
操作時のアニメーションは高速/低速の二段階に切り替えられるほか、操作音のON/OFFの切り替えも可能。覚えるまでは難しい計算機の操作も、ヘルプで詳しく解説されている。おまけの機能として「In a pinch(困ったとき)」ボタンがあり、押すと、操作可能な算盤が表示される。