電卓ソフトは数あれど、「Clapte」ほど特異な機能を持つソフトはなかなか存在しないのではないか。しかし、だからといって決して奇をてらったソフトではない。ユニークな機能には、はっきりと「使い勝手を高めるための工夫」が反映されている。例えば、クリップボードの内容をもとに計算する機能。こうした機能を持つソフトがほかに存在しないわけではないが、「Clapte」では計算結果を取り込む際の操作が冴えている。もう一度同じ数式をクリップボードにコピーすることで、計算結果がクリップボードに戻されるのだ。
なぜ、これが便利かといえば、実際にシチュエーションを想像してみればわかる。テキストエディタで数式を入力し、その数式を選択して【Ctrl】+【C】でクリップボードにコピーする。「Clapte」では、この時点で数式が自動計算され、計算結果がバルーン表示される。だが、この時点では計算結果をクリップボードに戻したりはしない。なぜなら、数式をクリップボードに入れる動作は「計算したい」という操作のほかに、単に「数式をカット&ペーストで、ほかの場所にコピーや移動したい」という操作である可能性もあるからだ。前者であればよいが、仮に後者の場合であれば、「Clapte」に勝手にクリップボードの内容が書き換えられてしまうわけで、これでは困る。
二回コピー操作を行うことは一見、面倒に思えるかもしれない。二回のコピー操作で、計算結果はクリップボードに入るので、続けて【Ctrl】+【V】を入力すれば、選択状態にあった計算式がそのまま計算結果で上書きされるという寸法。この例に限らず、「Clapte」には工夫がいっぱいだ。「よくぞここまでの工夫を練り込んだ」と感心させられること請け合いのお勧めソフトだ。
(天野 司)