シナリオが重視された、コメディタッチの勇者SRPG。見習い魔法使いの木霊の少女がいきなり勇者に任命され、魔王討伐の冒険を続ける。国王の任命乱発ですっかり信用を失った「勇者」に、少女が突然任命される
「木精リトの魔王討伐記」は、勇者好きの国王によっていきなり勇者にされてしまった木霊の少女が、クセのある仲間と冒険を繰り広げる勇者SRPG。問題児揃いの個性的なパーティメンバーによる掛け合いや、無理のないストーリー展開が、プレイヤーをグイグイと作品世界に引き込んでゆく。
ゲームの舞台は大樹の世界「エル・ファーラン」。主人公は木霊=木の精の少女「リト」。年齢は72歳だが、人間に換算すると14歳から15歳ほど。リトは魔法修行のために人間世界へやって来て、現在は大賢者「イウリス」の弟子となっている――とはいえ、まだ見習い魔法使いで、師匠の身の周りの世話ばかり。本格的な魔法修行は行っていない。
ある日、イウリスのもとに国王が遣わした使者がやって来たところから物語ははじまる。用件は「勇者」への就任依頼。面倒だと、リトに押しつけるイウリス。その結果、リトは国王「ロンバルディア2世」に勇者として任命され、魔王討伐の旅に出かけるはめになる。
しかし、魔王は確かに実在するものの、居場所は誰も知らない。これまでにも勇者好きの国王から大勢の人間が勇者に任命されたが、誰一人として任を全うできた者はいない。いまでは当の国王をはじめ、誰も勇者には期待をかけておらず、軍資金も支給されなくなってしまった。
パーティメンバーとして派遣されたのは、厄介払いが目的の問題児ばかり
勇者の仲間として集められたメンバーは、能力こそ優れているものの、厄介者ばかりだった。当初、リトの仲間となるのは「エドガー」「ガブリエーレ」「リーゼロッテ」の三名だ。
「エドガー」は、神学校で優秀な成績を修めていた格闘士の青年。しかし、三角関係のもつれから暴力事件を引き起こし、退学処分になる。勇者パーティに入り、魔王を倒したら退学を取り消してもらえるという条件でパーティに参加する。
「ガブリエーレ」は、若くして司祭となった優秀な少女。神聖魔法の腕前は天才的だが、高潔で正義感が強すぎ、神殿の上層部と対立。左遷され、今日に至る。回復魔法が最大の武器。
魔道士「リーゼロッテ」は、禁呪に手を出したため、魔力を封じる拘束具「魔封環」を腕にはめられてしまっている。魔封環を外す条件として、勇者とともに魔王を討伐することを命ぜられる。封印にもかかわらず、得意の攻撃魔法は健在だ。
冒険が進むにつれて新たなメンバーも追加されるが、ドサ回り中の魔法剣士、改心した盗賊、ローニン中のサムライ、“自称”エルフと、やはり曲者揃いだ。
プレイヤーは、パーティメンバーを率いて、なるべく均等にレベルを上げながら、物語を進めてゆく。戦闘に参加できるメンバーは四人まで。戦闘に参加しないと経験値はたまらず、レベルアップもしない。まめに「並び替え」を行い、レベルを揃えるようにするのがよい。
戦闘は、戦略性の高いウォーシミュレーション形式で展開される
物語の進め方は、一般的なRPGと同様。各地を旅し、多くの人と会話をすることで情報を集める。また、各地に巣くう魔物や盗賊などと戦って、経験値とお金を稼ぎ、パーティを成長させる。
ただしマップは広く、移動の自由度はかなり高い。登場人物との会話を注意深く覚え、次に行くべき場所を見失わないようにする必要がある。
戦闘には、ウォーシミュレーションに近い形式が採用されている。戦闘に参加するキャラクタの敏捷性に応じて攻撃の順番が決定され、順番が来たキャラクタは、移動可能な範囲が青丸で提示される。移動を終えるとメニューが表示され、「攻撃」「盗賊技・一般魔術・神聖魔術・槍技」など、各キャラ固有のスキルや「アイテム」「待機」から、次の行動を選択できるようになっている。
武器による攻撃には射程があり、剣や拳による攻撃は隣接した敵にしか届かない。槍は隣隣接まで届く。魔法攻撃は種類にもよるが、かなりの遠距離からでも効果を発揮する上、ターゲットだけでなく、周囲の敵にもダメージを与えられる。ただし、ほとんどの魔法攻撃は詠唱によるタイムラグが発生する。武器による攻撃や特技でも追加待機が発生することはあるが、通常攻撃ではタイムラグは発生しない。
敵とのエンカウント方式は(基本的に)シンボルエンカウント。シンボルの移動は速くなく、戦闘を回避しようと思えば、楽に逃げることができる。