ヘルプデスクやサポートセンターでは、顧客からの問い合わせ内容をきちんと記録しておく必要がある。もちろん単に記録したのではだめで、あとから簡単に参照でき、たとえ担当者が違っていても、適切な対応ができなければならない。こうした業務に求められるのがCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれるジャンルのソフトだ。顧客名と連絡先を登録しただけのアドレス帳や、単に予定を書き込んだだけのスケジューラなどとは異なり、顧客との間の取り引きやユーザサポートの経過がわかりやすく記録されているという点では、一種の業務レポート作成ソフトといってもよいかもしれない。
記録はデータベースファイルの形で保存されるが、専用ソフトだけに、ユーザがテーブルの設計を行ったりする手間は不要だし、データの追加や更新を行った場合も自動的に保存されるので、特にデータベースを意識する必要はない。複数のデータファイルを切り替えて使うこともでき、バックアップ/リストア機能も備えている。
顧客情報の内容はかなり詳細なもので、ユーザのタイプなどに応じて任意のグループや職業を割り当てたり、ファイルを登録したりすることもできるので、きめ細かな対応への助けとなるだろう。対応履歴内の概要や内容を対象としたキーワード検索も可能で、「ほかの担当者がすでに同様の事例を処理していないか」を調べたりするのにも役立つだろう。
スケジュール管理や定期的な通知の登録、関係者情報の設定といった機能にも目をひかれる。狭い意味での顧客対応やクレーム処理といった用途にとどまらず、対人関係の管理、ひいてはビジネス全般をマネージメントするツールとして活用できそうだ。
(福住 護)