ついに「VideoStudio」がHTML5のオーサリングに対応した。「動画編集ソフトなのに、なぜWebページ用であるはずのHTMLオーサリングに?」と考える人もいるかもしれない。もちろんこれは「VideoStudio」が本格的なWebオーサリングソフト──例えば「ホームページビルダー」──のようなHTML編集機能を搭載したということではない。あくまで動画編集ソフトとしてのHTML5対応だ。次世代のWeb記述言語であるHTML5は、特徴のひとつに「動画や音声再生にネイティブに対応することで、よりマルチメディア機能を強化した」ことが挙げられる。従来であれば、Flashなどの外部プラグインが必要なインタラクティブな機能を、HTMLだけで記述できるようになったわけだ。
しかし、こうしたマルチメディア機能は、従来の静止画を対象としたHTMLオーサリングソフトではうまく編集できない。例えば「ホームページビルダー」で、ユーザの操作に応じてリアルタイムで動画再生ができるようなページを作成しようと思うと、Flashを埋め込んだり、外部のプラグインをページ内に埋め込んだりするしかない。結局、インタラクティブな機能は、外部のFlash編集ソフトなどのお世話になるしかないわけだ。
「VideoStudio」のHTML5対応は、言い換えれば、従来(HTML4世代まで)はFlash編集ソフトが担っていた部分を動画編集ソフトとして取り込んだもの。Flash編集ソフトを見たことがある人ならわかると思うが、動画編集ソフトの「タイムライン」に似た操作性を持ち、いかにも動画編集ソフトとの親和性が高そうに見える。扱う対象が動画なのだから、当然といえば当然だ。
いずれにしろHTML5の登場により、動画編集ソフトの守備範囲は、従来の動画プレイヤーで再生されるファイルだけではなく、Webブラウザで再生されるファイルへと広がったわけだ。HTML5にいち早く対応したのが「VideoStudio X5」であるのは、さすがというべきだろう。12年連続トップシェアは伊達ではない、ということだ。
(天野 司)