冒頭から飛ばしに飛ばしまくるスパイコメディアドベンチャーゲーム。ギャグ満載で、ボリュームは特大。メインターゲットのコミュニティンコーポレーションに潜入するまでが描かれる「導入部+チュートリアル」のパートだけでも、ちょっとしたゲームに匹敵するボリュームがある。グラフィック、BGM、ゲームシステムなど、どこを取っても市販のゲームに引けを取らない、すばらしい完成度だ。
シナリオ中心のアドベンチャーゲームで、主人公とほかのキャラとの会話などを楽しみながら、時折表示されるメニュー(カイワ、イドウ、ハッキング)や選択肢などで行動を選択することにより、物語が分岐してゆく。ストーリー展開の上で重要なのが「ハッキング」だ。コンピュータのハッキングはもちろん、主人公の持つプログラム「ハック太郎」で対象の人物をハッキングして、感情を操ることができるようになる。ハッキングにより、ターゲットの強く出ている感情を吸い出してストックし、ほかのキャラクタに書き込むこともできる。
企業スパイというシビアなネタをテーマにしながらも、ギャグにはテンポがあり、誰でも“カンタンサクサク”と楽しめる。登場人物の言動が多少濃すぎて、くどいきらいもあるが、コメディだけでなく、スリルもあり、プレイするほどに作品世界に取り込まれてしまう。アドベンチャーゲーム好きの人には強くお勧めしたい。
(秋山 俊)