膨大なシナリオが仕込まれた、自由度が高く、ボリューム満点のサスペンスアドベンチャーゲーム。例えば第1章は、隼人視点のみで、内容も牢獄から脱出するだけとシンプル。しかし、ここですでに複数の解決方法が用意され、どの方法で脱出するかにより、内部のパラメータが変化する。第2章以降は、操作キャラクタの変更やパーティ編成も可能。さらに膨大な分岐が存在する。加えて僅かなミスも命取りになるスリルと、先の展開がまったく見えないサスペンスが用意されている。これでおもしろくないわけがない! 軍艦島の写真を豊富に使った画面も物語にリアリティと迫力を加味している。
20種類にも及ぶエンディングが用意された全9章構成。すべてのエンディングを見ようと思れば、かなりのプレイ時間が必要だ。ただし、すでにプレイしたことのある章はグローバルスキップを利用して、大幅に時間を短縮することが可能。グローバルスキップは、ONにすると「既プレイのルートがダイジェストで紹介される」という労作で、選択肢で止まったときに「他の方法を試す」が表示されることで、まだプレイしていないルートがあることを知らせてくれる。
現在ではめずらしい本格派の純粋アドベンチャーゲームで、アドベンチャーゲーム好きの人もそうでない人も、ぜひ一度プレイしていただきたい作品だ。
(秋山 俊)