Windowsに標準添付されているユーティリティでありながら、なぜかオンラインソフトの種類も多いというジャンルがある。あえて別のソフトが作られる理由はもちろん「標準の機能では満足できないから」だろうが、「EvalCalc」も、まさにそうしたジャンルのひとつである「電卓ソフト」だ。では、「EvalCalc」にあって、Windows標準の電卓に欠けている点は何だろう。(実際には比較するのもおこがましいくらいの差はあるのだが)最も大きな相違点はやはり「『EvalCalc』がWindows標準の電卓に比べて圧倒的に多機能である」ことではないだろうか。上で説明したように「EvalCalc」の計算機能の豊富さには目を見張るものがある。四則演算、豊富な関数、財務・統計計算、数式そのまま入力、グラフ描画機能──これだけでも凄いが、さらに倍精度計算、ベクトル・行列演算機能といった、もはや「電卓」の範疇を超えているのでは? という計算にまで対応する。実際、こと計算機能に関しては、「EvalCalc」で不満を持つユーザはよほど特殊な層ではないかと思えるくらいだ。
そうしたプロフェッショナルの道具らしく、コマンドの入力方法など、それなりに「覚えないといけないこと」も多いが、一度覚えてしまえば、GUIを使って操作するより、よほど便利なことも多い。ゆえに筆者はこれを欠点とは思わない。むしろ使えば使うほど手になじむ、優れた道具になる。
取っかかりはちょっと手強いかもしれないが、ぜひとも縦横無尽に使いこなしてほしい。そうすれば必ず期待に応えてくれる。そんな電卓ソフトだ。
(天野 司)