「天使のうつわ」は、ダンジョンの探索や敵モンスターとの戦闘がゲームの中心。物語自体はそれほど重要視されていない。NPCのセリフはほぼゲームの説明で、仲間や敵キャラクタとも必要最低限のことしか話さない。どちらかというと、多種多様な敵を倒したり、装備品などのアイテムを集めて図鑑を埋めたりといった、やり込み系ゲームを好む人向けの作品といってよい。個人的におもしろかったのは、ダンジョン内に散りばめられた謎解き要素。要所要所に不可解な文章や仕掛けが用意され、解かないと先に進むことができない。時には暗号解読であったり、時には探し物であったりと、謎はさまざま。試行錯誤して解けたときは非常に気持ちがよい。考えてもわからない場合もあるが、そのときは何回か間違えると、仲間がヒントをくれたりする。行き詰まることがないのもうれしいところだ。時間制限もないので、じっくりまったりと考えながら、ダンジョンをクリアしてゆくのが素直に楽しかった。
ゲームの難易度はそれほど高くない。強い敵もある程度のレベルで挑めば、全滅は避けられるだろう。戦闘重視だけあってバトルのテンポもよく、属性の概念を取り入れたりと、飽きない工夫が施されている。また、アイテムを持っている敵さえ逃さずに倒してゆけば、無用なレベル上げも特に必要ない。「物語そっちのけでも、戦闘やアイテム集めを楽しみたい」というRPGユーザにお勧めしたい。
(早川 陽子)