以上、4本のゲームを紹介してきたが、いかがであろうか? 最後にもう一度、それぞれの作品の特徴をまとめてみよう。
「The Ruins Of The Lost Kingdom」は、グラフィック、システム、シナリオのどこを取っても市販のゲームに引けを取らない、まさしく本格派の3DアクションRPG。現時点で第七章までプレイできるメインシナリオはボリューム感もたっぷりで、どんなうるさ型のRPGマニアもきっと満足することだろう。シナリオモードと他の4種類のモードが連携しており、交互にプレイすることで主人公や仲間のキャラクタを効率よく育成したり、装備を調えたりできるという点もおもしろい。これだけのシステムでありながら動作が軽く、非力なマシンでも十分プレイできる点もうれしい。
「勇者御一行様殺人事件」は、日ごろ勇者たちに殺されまくっているスライムを主人公にし、スライムの視点から描かれたユニークな設定のRPG風味のパズルアドベンチャーゲーム。パズルのシステムも、時間が止まった中、スライムを操作してアイテムを移動させ、配置が完了したら時間を動かして勇者たちにアイテムを踏ませることで目的を達成するといった、かなりユニークな法式が採用されている。プレイしていてなかなか新鮮で楽しかった。シナリオそのものは短いが、パズルの内容はかなり捻ってあって手強い。アイテムを正しく使用して勇者3人をすべて倒すには、ひたすら試行錯誤を繰り返す必要があるだろう。
「じじばばーん」は、ともに80歳の老人夫婦が主人公という異色のゲーム。しかし、このゲームの本当にすごいところは、なんといってもシナリオそのもの。グラフィックやモンスターとの戦闘など、ほとんどすべての部分においてRPGツクールに最初から用意されている素材やシステムがそのまま使用されている。マップもシンプルでわかりやすく、戦闘の難易度も高くない。それにもかかわらず、実におもしろい。主人公である老人夫婦はもちろん、国王や大臣、やられ役のモンスターにいたるまで実に生き生きと描写されている。ストーリーもとてもテンポよく進んで、気持ちがよい。魅力的なキャラクタとおもしろいシナリオがいかに重要かを再認識させてくれるゲームだ。
「閃光機神ヴァルゼルト」は、ロボットアニメの世界観を忠実に再現した意欲作。セレナと和葉、二人のヒロインと主人公の関係の変化によってルートが変化するマルチストーリーも採用されている。敵方に美形悪役とその部下である美少女が出てくるなどのお約束がしっかりと押さえられているのも憎い。アイキャッチやCM、次回予告が用意されているのもうれしい演出だ。本来何クールもかけてやるロボットアニメのストーリーを短い話数の中に押し込めたこともあってか、シナリオの展開に若干唐突な部分があったり、グラフィックがやや稚拙といった難点もあるが、制作者の意欲と熱意が感じられる作品だ。各話ごとのミッションもバラエティに富み、戦闘の難易度は高めで、歯応えがある。