人の住む場所が上層都市と下層都市に分けられた近未来が舞台のRPG。
かつて上層都市は厳しい規律で支配されており、たとえほんの僅かでもそれに違反したものは下層都市に落とされていた。下層都市はスラムと化し、暴力が支配する無法地帯となっていた。そんなある日、上層都市からやって来たRealという名の少年の依頼で、下層都市最強の4人のチーム「FooL」が革命を起こす。革命によって上層都市と下層都市の垣根がなくなり、人々が行き来できるようになる……というところまでが「Creantics」の前作にあたる「Creantics ZERO」のあらすじ。
「Creantics」は、それから4年後の物語だ。政府の追及を逃れるため逃亡生活を送っていた「Fool」の面々が、カラーギャングの跳梁により再び乱れてきたロフト(下層都市の街)を救うために呼び集められたところからストーリーははじまる。カラーギャングとの死闘。しかし、彼らが呼び集められた真の理由はほかにあった。下層都市のみならず全世界を揺るがすほどの重大な危機。その危機には彼ら自身も深く関わっていたのであった……。
ゲームの主役となるのは「FooL」の4人のメンバー。元銀行強盗、元裏武器創造者、元軍人、そして謎の喧嘩屋といったそうそうたる顔ぶれだ。この4人がパーティを組んで敵と戦う。それぞれが通常攻撃のほかに、ブレイクアーツ(攻撃技)、ハザードムーブ(個性技)、フィニッシュアクト(トドメの技)といった多彩な技を持つ。さらに、タイランヒートと呼ばれる全員攻撃も用意されている。
万が一、メンバーの誰かのHPが0になってしまっても、バイタルポイントという救済システムがあり、チーム全体で最大3回まで回復することができる(ただし、バイタルポイントが0になるとゲームオーバー)。そのほか、敵が瀕死寸前になると4人以外のメンバーがストライカーとして登場し、一撃離脱の攻撃をするシステムも用意されているなど、戦闘時のシステムはかなり凝っている。それぞれのキャラクタがいろいろなセリフを発声しながら攻撃するのもおもしろい。キャラクタの育成システムやアイテム、武器などもかなりのオリジナリティがある。
BGMやグラフィック、キャラクタの性格などは、パンクロックを思わせるようなアナーキー感があふれていておもしろい。キャラクタ同士の会話も独特な語り口でユニークだ。しかし、ゲームそのものは意外なほど正当派である。ストーリーの随所に散りばめられた謎解きも手強いが、いずれも画面をよく見て考えれば解けるものばかりだ(武器の材料など、謎解きの内容そのものに疑問はあるが)。ゲームバランスもよく、良質なRPGといってよい。